【廃線跡の思い出】高千穂鉄道 「廃止前の廃線」で点灯していた信号機

災害で運休したまま廃止になる鉄道路線は決して少なくはありません。九州の高千穂鉄道も、そうした廃線のひとつ。台風で線路が寸断されて休止中だったころ、痛々しい姿の高千穂鉄道を訪ねました。

駅舎併設の温泉施設に設置

 2005(平成17)年5月に九州の高千穂鉄道を訪ねて、わずか4か月後のことでした。台風による大雨で、高千穂鉄道は橋りょうが流失するなどの多大な被害が発生。全線運休になり、そのまま2008(平成20)年12月に全線廃止されてしまいました。

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橋桁が流失した橋りょう。ここを訪ねた時点では廃止ではなく休止だった(2007年1月、草町義和撮影)。

 高千穂鉄道は、宮崎県内の延岡~高千穂間を結んでいた、全長50.0kmの鉄道路線。もともとは国鉄ローカル線でしたが、JR九州への暫定継承を経て、1989(平成元)年4月に第三セクター化されました。

 2007(平成19)年1月、ある雑誌の取材で高千穂を再訪。記事の趣旨としては廃線跡の散策記でしたが、この時点では休止中でしたから、正確には廃線ではありません。

 しかし、線路は赤さびてトンネルも柵で閉鎖。橋りょうは桁が消えてなくなっており、既に廃線の風情を醸し出していました。当然ながら、駅は残っていても営業していません。ただ、日之影温泉駅の駅舎に併設されていた温泉施設は営業していました。

 浴場の入口には3灯の鉄道信号機が設置されていました。青は「到着予告」、黄色は「到着15分前」、そして赤は「到着5分前」と記されています。要は信号機を使って列車の到着を温泉客に知らせるもの。これと同様のものが、北上線のほっとゆだ駅(岩手県西和賀町)にもあります。

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Writer: 草町義和(鉄道ライター)

1969年、新潟県南魚沼市生まれ。鉄道趣味誌で列車の乗車ルポや幻の鉄道(未成線)の散策記などを多数発表してきた。著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。趣味はアサガオ、ゴーヤの栽培。

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