ハリネズミのようだった戦略爆撃機が“スッキリ”した理由 70周年を迎えた“おじいちゃん爆撃機”お尻の機関銃をなぜ捨てた!?

025年6月29日、B-52「ストラトフォートレス」が初の運用開始から70周年を迎えました。この70年で最も大きく変わった部分——それは“お尻”です。実は運用当初、尾部には機銃ターレットが搭載されていましたが、現在は撤去されてスッキリしています。なぜ、尾部機銃はなくなったのでしょうか。

なぜ機銃てんこ盛りからスッキリに?

 2025年6月29日、B-52「ストラトフォートレス」が初の運用開始から70周年を迎えました。この70年で最も大きく変わった部分——それは“お尻”です。実は運用当初、尾部には機銃ターレットが搭載されていましたが、現在は撤去されてスッキリしています。なぜ、尾部機銃はなくなったのでしょうか。

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70周年を迎えた現在も現役のB-52「ストラトフォートレス」(画像:アメリカ空軍)

 そもそも、B-29「スーパーフォートレス」やB-17「フライングフォートレス」、アブロ「ランカスター」など、第二次世界大戦期の戦略爆撃機といえば、機体の各所に防御用の機銃座を備えるのが一般的でした。しかし現在では、ロシア製の一部戦略爆撃機を除き、アメリカ製のB-52やB-1などには機銃がほとんど搭載されていません。

 この変化の大きなきっかけとなったのが、ジェット機の登場です。第二次大戦末期、まず戦闘機にジェット機が導入されました。護衛機のいない爆撃機がジェット戦闘機に捕捉された場合、複数のレシプロエンジンで飛ぶプロペラ機の戦略爆撃機では、防御火器で高速なジェット機に対応するのは困難で、一方的に撃墜される状況が生まれました。

 しかし戦後しばらくすると、爆撃機もジェット化が進みます。前述のB-52もその一例で、防御用の機関銃や機関砲はほとんど搭載していませんでした。これは、爆撃機の速度向上により、正面や側面から接近して攻撃するのが人間の反応速度では難しくなったためです。

 とはいえ、B-52の運用開始当初は、尾部にだけは機銃が残されていました。ジェット爆撃機であっても、後方下部からの接近攻撃のリスクがあったため、尾部には4連装の12.7mmブローニング機関銃を搭載するターレットが設置されていたのです。当初は尾部に1名の射手が搭乗するという、機関銃手にとっては飛行中他の乗組員をコミュニケーションが取れないかなり孤独な環境となっていましたが、のちにレーダー照準方式に改められ、射撃は操縦室から遠隔で行えるようになりました。

 同時期にソ連空軍で運用が始まった、二重反転プロペラを備えたターボプロップ爆撃機Tu-95も、最高速度ではB-52(1028km/h)に及ばないものの、950km/hとかなりの高速で飛行できたため、尾部のみに機関砲ターレットを設けていました。

【今はペッタン】時代によって変わるB-52の“お尻”(写真)

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