【都市鉄道の歴史をたどる】地下鉄工事はどう変わったか 「開削」から「シールド」へ
地下鉄の工事で必ず建設されるのがトンネル。山間部のトンネルと異なり、通常はトンネルの上に市街地があります。これらに影響しないよう慎重に建設しなければなりません。その工事方法の移り変わりを見てみましょう。
工事期間の短縮にトンネル工法の歴史あり
道路下に巨大な地下構造物を構築する地下鉄工事。先の見えない地下空間で、慎重かつ大胆に掘削を進めていかねばならないことから、かつては想定外のトラブルで工事が難航し、工期が延びるということも多々ありました。
しかしいまでは、100年を超える地下鉄建設の長い歴史の積み重ねのなかで標準的な工法が確立され、安全かつ安定して工事が進められるようになりました。
たとえば、日本で最も新しい地下鉄路線である仙台市地下鉄東西線は2007(平成19)年に着工し、2015年に開業しています。東京で最も新しい東京メトロ副都心線は2001(平成13)年に着工して2008(平成20)年に開業。大阪メトロ今里筋線も2000(平成12)年に着工し2006(平成18)年に開業するなど、近年の地下鉄工事はおおむね着工から6~7年ほどで開業していることが分かります。
これらの路線は、まず駅の部分を地上から掘り下げ、駅の建設と同時にシールドマシンの発進基地を設置します。そして各駅から発進したシールドマシンが、トンネルを一斉に掘り進めることでトンネルがひとつにつながります。
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Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
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