NATO紆余曲折の70年 ソ連崩壊で大幅路線変更、その後のロシア関係は? 日本とは?

NATOが発足70年を迎えましたが、その存在意義などは、当初とは大きく変貌しています。もともとは北米と欧州の、名前通り北大西洋近辺を中心とした国家集団でしたが、2019年のいま、極東の日本も深い関係にあります。

NATOが誕生から70年目を迎える

 NATO(北大西洋条約機構)が2019年4月4日、結成70年を迎えました。

 同機構は1949(昭和24)年4月4日、アメリカのワシントンで結ばれた「北大西洋条約」に基づき、アメリカと当時の西ヨーロッパ諸国を中心とする集団防衛機構として誕生しました。この70年間、ソ連崩壊後のロシアやかつての東側陣営諸国との関係も大いに変化したり、また大西洋から遠く離れた日本も無関係ではなかったりするなど、変わりゆく世界情勢を受けてさまざまな紆余曲折を経てきたのですが、それについて触れる前に、まずはNATOとは一体どのような組織なのかについて簡単に見ていきます。

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2018年にノルウェーで実施されたNATOの共同演習「トライデントジャンクチャー」に参加したアメリカ海兵隊のM1A1「エイブラムス」戦車(画像:アメリカ海兵隊)。

 NATOは主として、ヨーロッパや北米の条約加盟国を集団で防衛するための組織で、発足当時はアメリカやカナダ、イギリスやベルギーなど合計12か国で構成されていました。その規模は徐々に広がっていき、2019年現在の構成国数は29か国に上ります。

 もともとNATOは、第2次世界大戦の終結後に勢力を拡大させてきたソ連を中心とする共産主義勢力から、自由と民主主義を根幹とするヨーロッパ諸国を防衛し、同地域内での民主化や政治的統合、さらに軍国主義の復活阻止を目指して結成されました。

 こうした目的を達成するための根幹をなすのが、北大西洋条約第5条に明記された「集団的防衛」の仕組みです。これは、NATO加盟国のうちの1国に対する攻撃をNATO全体への攻撃とみなし、加盟国が総出でこれに反撃するというもので、冷戦時代にはおもに、ヨーロッパへソ連が侵攻してきた場合にアメリカが軍事介入するという形での適用が想定されていました。また、NATOは軍事同盟という側面ばかりが注目されがちですが、実際には紛争を防止するための外交的努力や、紛争後の情勢安定や復興支援などにも注力したり、あるいはさまざまな国際機関と連携や協力を強め、国際的な安全保障環境の改善を進めたりといった、巨大な政治的組織という側面もあわせ持っています。

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