実現しない360km/h運転、なぜ東海道新幹線で試験したのか スピードアップ予定無し
360km/h試験でパワーアップ! そこにある大きな意味
東海道新幹線のスピードアップは、ほかの新幹線路線に比べ急なカーブが多く、速度を上げてもそのスピードで走れる区間が少ないこと、スピードアップしなくても公共交通機関としてある程度十分な競争力があること(JR東海の資料によると東京圏~大阪圏は新幹線がシェア85%〈2016年度〉)、500km/hで走る超電導リニア中央新幹線の建設が進んでいること、などからも、あまり現実的ではないでしょう。
また最高速度を上げるには、線路などにも相応の対策(コスト)が必要です。今回の試験でも、軌道(レールなど)や架線関係で特別な対応をしているとのこと。
ではなぜJR東海は、360km/hの走行試験を行ったのでしょうか。
「N700Sは『標準車両』というのが大きなコンセプトです。今回の試験で、国内外に高い走行性能を示すことができました」(JR東海 新幹線鉄道事業本部 副本部長 上野雅之さん)
N700Sは東海道新幹線に限らない、さまざまな場所で活躍できることを念頭に置いた「標準車両」として開発されました。編成の長さは、東海道新幹線の16両のみならず、8両や12両など柔軟に変更できるほか、今回の360km/h走行試験にあたっても、モーター搭載車両の数を、両先頭車以外の14両から、全車両の16両へ増加させることにより、出力を約15%アップさせています(通常出力は1万7080kW)。
こうした「状況に応じて変われる柔軟な標準車両」というポテンシャルを実証することなどが、360km/h走行試験の目的とのこと。
JR東海は、アメリカのテキサスで東海道新幹線型高速鉄道を走らせるプロジェクトを進めているほか、台湾高速鉄道にも関わっています。現在、そこで360km/h運転を行うという話は聞こえてきませんが、世界中の「さまざまな場所」のなかには、東海道新幹線以上のスピードが適している、求められる場所が存在する可能性もあるでしょう。そのときN700Sの「速さも容易に変えられる標準車両」という能力が、生きてくるのかもしれません。
【了】
※誤字を修正しました(6月8日21時50分)
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
さすがはJR倒壊だな売名の為に旧幹線で360キロか?
700系の存在がそんなにダイヤに影響を及ぼすとは知らなかったな
0系や100系ならまだしも、やはりカーブの通過速度なのだろうか?
阪神や京急のように普通列車に俊足な車両を用いる意図がよくわかる
小田急のように幅広ドアと標準ドア車両の混合編成とかチャランポランな会社は是非見習ってほしいな
東海道新幹線はカーブが多くて、360km走行の恩恵が少なくても、後から建設して、相互乗り入れ運行している山陽新幹線には、360km走行の恩恵がある、と記述しても良かったのではないかな?
「東海道新幹線に限らない」というコメントからすると、推察のとおりでしょう。
さらに勘ぐると九州新幹線の勾配・短編成にも対応する標準車両にする、という狙いもあるのではないかと。
今後山陽新幹線での走行試験が行われるかどうかかが気になりますが、やるべきでしょう。
つか普通に山陽新幹線でも走行試験やるでしょ、乗り入れるんだし。
九州新幹線もN700系、800系の更新車両もこれになるんじゃないの、普通に考えると。N7系(E7系)やE5系あたりを入れても仕方ないし。
過去に東海道新幹線で300km/h運転、滋賀県内で330km/h運転を目指すと言っていたので、最高速度引き上げ目的かと思っていたが…
最高速度引き上げはどこかのダイヤ改正の目玉とするので、それまでは公表できず引き上げの予定はないと言っているだけでは?
285km/hに最高速度を引き上げるとき誰が予想できただろうか?それを思い返せば、JR東海は突如最高速度を引き上げると言ってもおかしくないのでは?
文中、「TRAIL」ではなく「TRIAL」ですね。
写真にも写ってます。
ご指摘ありがとうございます。 訂正いたしました。