「レインボーギャング」と呼ばれる空母甲板作業員 なぜ? 中国もまねた合理的スタイル
中国も真似し始めたカラーごとの役割分担
「レインボーギャング」と呼ばれる甲板作業員は、原則として紫、青、緑、黄、赤、茶、白の7色で区分けされます。紫は燃料関係、青は車両やエレベーターの操作員および伝令関係、緑はカタパルトや着艦ワイヤー、航空機整備の関係者、黄は航空機の移動や離着艦関係、赤は武器関係、茶は航空機の機付長(機体ごとの整備責任者)、白は安全管理や医療関係とされています。
そしてこの大きな7種類の中で、さらにシャツ(ジャージ)やライフベスト、専用ヘルメットの3つで色の組み合わせを変え、加えてベストの背面やヘルメットに数字や文字を追記することで、100以上の職域(役割)に細分化しています。
このカラーリングによるオペレーションの明確化、効率化は第2次世界大戦後のアメリカ海軍で始まりました。その後、この色分けはイギリス海軍やフランス海軍の空母運用でも導入されましたが、両国の空母は甲板作業員がそれほど多くないため、アメリカ海軍ほどの細分化は行われていません。
ただし、近年急速に空母の運用を拡充している中華人民共和国(中国)海軍については、将来を見据えてなのか、アメリカ海軍と同じようにベストとシャツで異なる色を組み合わせる形を採用し、役割の明確化、細分化を図っています。
なお、アメリカ海軍を始めとして、各国海軍の甲板作業員は腕まくりは厳禁です。なぜなら、エンジン排熱や油などでやけどを負ってしまわないようにするためで、同様に眼球を保護するためにゴーグルは必須とされています。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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