【空から撮った鉄道】1067mmと762mm軌間の路線が存在する三岐鉄道 両線を交互に撮る

三重県と滋賀県の県境に近いいなべ市。市内を南北に流れる員弁(いなべ)川を挟んで、1067mm軌間の三岐線・近鉄連絡線と762mm軌間の北勢線、三つの三岐鉄道線があります。2014(平成26)年、このうち三岐線と北勢線の2路線を交互に空撮しました。

わずか30分で三岐鉄道の2路線を撮影

 この記事では何度か2014(平成26)年夏の同じ日に空撮した、中京圏の「空鉄(そらてつ)」を紹介しています。約4時間のフライトで、名古屋、岐阜、滋賀、三重にあるさまざまな鉄道スポットを一気に空撮し、それぞれのテーマで発表してきました。今回はそのうちのひとつ、三岐鉄道の紹介です。

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滋賀県からのフライトで最初に撮影した三岐鉄道は三岐線の西藤原駅。三岐線の終点で、駅構内には静態保存のED500形電気機関車の姿が見える。同機は2015年に保々で解体された(2014年8月5日、吉永陽一撮影)。

 三岐鉄道は1067mm軌間の三岐線・近鉄連絡線と、近鉄から移管された762mm軌間の北勢線があり、三岐線は元・西武鉄道の車両と貨物列車、北勢線は小さなナローゲージと、趣味的視点から見るとなかなか「濃い」鉄道です。

 4時間フライトのうち、三岐鉄道に割り当てた撮影時間は約30分。その後は四日市の可動橋(末広橋りょう https://trafficnews.jp/post/81032の記事を参照)を撮影するため、時間を延長しての撮影はできません。そこで事前のフライトプラン作りは腕組みしながら考えました。時間内に難しいかなと思いきや、地図を見ると、三岐線と北勢線は員弁(いなべ)川を挟むようにしてあります。地上だと車移動でも10数分はかかりますが、セスナ機だと1分かかるかどうかという至近距離。三岐線の東藤原駅を撮って大きく旋回すれば、1分以内に北勢線の阿下喜駅が撮れるのです。これは好都合です。

 さて、実際のフライトとなりました。三岐鉄道の前は滋賀県内にいます。米原駅を撮るついでに彦根城と琵琶湖を撮って関ヶ原を越え、いなべ市へ入りました。

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西藤原駅をアップで撮影。駅舎は蒸気機関車を2両と客車をイメージしたデザインとなっている(2014年8月5日、吉永陽一撮影)。

 東藤原駅が見えます。と、構内で何やら貨車が動いています。「突放(とっぽう)作業」です。ちょうど駅北側の踏切先に重連の電気機関車が停車していて、突き放された貨車が惰性で動き、連結されていきます。その光景はまさにビリヤードの如く(笑)。パイロット氏は鉄道に詳しくないため、なぜ貨車が単独で動いているのか分からず驚いており、突放作業を簡単に説明しながら旋回して、作業風景を撮影します。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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