【空から撮った鉄道】JR東日本の新幹線の要 広大な新幹線総合車両センターを撮影する
仙台市郊外の田園地帯に広がるJR東日本新幹線総合車両センターは、東北・上越・北陸新幹線を走る車両の搬入、重要な検査、解体など、新幹線の要の場所です。この新幹線総合車両センター、2012年から何回か撮影しています。
東京や大阪の新幹線車両基地とは異なる広大な車両基地
北海道から九州まで伸びる新幹線網には、要所に車両基地があります。さらにその中には新車の搬入、全般検査、解体に至るまで総合的に行う要の基地があります。JR東日本の新幹線では、仙台市郊外にある「新幹線総合車両センター」がそれです。
ここは宮城県の宮城郡利府町、仙台市宮城野区、多賀城市に跨がり、全長約4kmの広大な長細い敷地となっています。私は利府町にあるから「利府基地」と呼んでいるのですが、「新幹線総合車両センター」が正式名称です。国鉄時代に開設された時は「仙台新幹線第一運転所」「仙台工場」と、ふたつの組織となっていました。
2012(平成24)年、まだ震災の傷跡が生々しい仙台空港を飛び立ち、仙台市内を撮影しました。空港は津波に飲まれてしまいましたが、再開を待って仙台の撮影業務をしたのです。それとは別に『空鉄』本執筆のため、仙台と新幹線総合車両センターを空撮することになりました。
同センターの周囲は田園地帯です。そこに滑走路の如く長細い敷地があるものだから、仙台空港から離陸して利府町へ近づくとすぐに発見できます。いつもは東京や大阪にある新幹線基地に見慣れているため、その倍は軽くある敷地に驚きました。24mmの広角レンズで入るだろうと思っていたけれども、実際にファインダーを覗くとけっこうギリギリで、敷地を囲むように大回りして旋回してもらいながら、おさまりの良いアングルを見つけて撮影しました。
こういうときは敷地4方向+敷地斜め4方向の計8方向を撮るのがセオリーですが、当たり障りのない撮影だけでは空鉄らしくない。そこで望遠レンズにし、縦位置で敷地を圧縮して撮ってみると、田園地帯に何やら電気回路の基板みたいなものがギュッと詰まっている雰囲気が撮れて、要の基地らしい絵になりました。
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。