史上最速 仏駆逐艦「ル・テリブル」の俊足 旧海軍「島風」より速いギネス記録45ノット
旧日本海軍の駆逐艦「島風」はその足の速さで知られますが、実はこの「島風」より8年も前に、世界最速の駆逐艦として記録に残る艦艇がフランスで建造されます。その名もフランス語で「恐怖」を意味する「ル・テリブル」駆逐艦です。
「島風」比110%の世界最速の駆逐艦
旧日本海軍の駆逐艦「島風」は、その足の速さで広く知られます。最速40.9ノットを記録し、旧日本海軍の艦艇で最速ですが、これを上回る45ノットをたたき出した駆逐艦が地球の反対側にありました。
「島風」を凌駕するスピードを出したのは、「ル・テリブル」というフランスの駆逐艦です。第2次世界大戦前に建造されたル・ファンタスク級駆逐艦の1艦ですが、なぜフランスはここまでの俊足艦を作ったのでしょう。
その理由は、フランス海軍が想定していた仮想敵にありました。
フランスはヨーロッパ大陸の西端にあり、大西洋と地中海に面しているものの、両方の海は国内でつながっていません。また外洋の大西洋と、ヨーロッパ大陸およびアフリカ大陸に囲まれている地中海とでは、海洋条件がまったく異なります。
フランス海軍は19世紀後半以降、大西洋側ではドイツ海軍を、地中海側ではイタリア海軍をそれぞれ仮想敵としていました。そのため基本的に近海で作戦行動することを念頭に置いており、航続距離よりも速力と火力に重点を置き、それで前述の2か国の軍艦に打ち勝とうとしたのです。
このような設計思想のため、フランスの駆逐艦は艦砲も強力です。たとえばル・ファンタスク級の主砲は13.8cm単装速射砲5門で、「島風」の12.7cm連装砲3基(計6門)よりも大口径です。その一方、航続距離は巡航速度の17ノットで3600海里(約6660㎞)と、「島風」の同じく18ノットで6000海里(約1万1110km)に比べて3分の2程度しかありませんでした
動力にはどんなテクノロジーが使われていたのでしょうね?