機体がオバケみたいになる? 飛行機に「水銀式体温計」なぜ持ち込みNGなのか?

一般の利用者が飛行機に乗る際、載せられる荷物には制限がありますが、そのなかのひとつに「水銀式体温計」があります。なぜ制限されているのでしょうか。やむを得ず持ち込む場合には、厳格なルールも設定されていました。

飛行機にも人体にも影響ありの「水銀」

 旅客機へ一般の利用者が持ち込む荷物には、様々な制限がありますが、そのなかのひとつに「水銀式の体温計」があります。

 大手医療機器メーカーのテルモによると、水銀式体温計はおよそ35年前に販売終了し、電子式が主流になっているため、現在使っている人がいるかどうかのデータはないとのことですが、電池がいらないことなどから、2020年2月現在でもまれに見られるものです。なぜ、水銀式体温計の持ち込みは制限されているのでしょうか。

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福岡空港の保安検査場入口(画像:写真AC)。

 国土交通省航空局によると、危険性があるのは、そのなかにある水銀と話します。

「水銀は腐食性が非常に高く、もし人の肌に触れてしまうとその部分の壊死を招く可能性があり、機体も腐食させてしまいます。また万が一飲み込んだりしてしまうと、人体に良くない影響を及ぼす可能性もございます」(国土交通省航空局 安全部安全企画課)

 水銀は人体に有害なだけではなく、ほかの金属とも反応しやすい物質です。インターネット上には、アルミニウムの板に水銀を垂らす実験の動画があり、一時大きな話題になりました。動画では、これら物質が化学反応を起こし、まるで「モップ」や「おばけ」のような様相をなす物質の生成される様子が確認できます。

 なお先述のように、水銀は人体に有害な物質であり、常温でも気化するため、専門の知識と環境、防護装備の整っていないなかでの実験は大変危険です。実験動画を観た専門家や医療従事者が、決して真似することのないよう呼び掛けています。

 ともあれ、このモップのような物質はなぜ発生し、飛行機にはどのように関わってくるのでしょうか。

【表】意外な盲点も!? 機内持ち込み制限がある荷物リスト

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