柔軟に編成組める「標準車両」の新型新幹線「N700S」 実際に可能な編成は 16MもOK?

JR東海が送り出す新型新幹線車両「N700S」は、機器の小型化により、路線状況に応じて編成を柔軟に組める「標準車両」であることが、大きな特徴のひとつです。では、実際に何両編成が可能なのでしょうか。

新幹線N700Sは「グローバルスタンダード」

 JR東海の新型新幹線車両「N700S」は、「標準車両」なのが大きな特徴のひとつです。路線の状況に合わせて、さまざまな編成両数で導入できる車両という意味で、JR東海の資料には「『標準車両』が起こす革新 Global Standard」と表現されています。

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16両から8両編成に短くなって走行試験が行われたN700S(2018年10月、恵 知仁撮影)。

 N700Sは機器の小型軽量化により、主変圧器(MTr)と主変換装置(CI)の同一車両への搭載などが実現。従来はできなかった機器配置が可能になり、床下機器の配置種別が8種類から4種類に減少したことで、長短柔軟に編成を組めるようになりました。

 これまで編成両数を変更する場合は、新型車両の設計と同等の大規模な設計見直しが必要だったそうです。このN700Sの「標準車両」について、JR東海は資料で次のように表現しています。

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8種類から4種類になったN700S(画像:JR東海)。

「技術開発の成果をタイムリーに発揮するため、N700Aの新車はもちろん、既存車も車両改造を行うことで常に新技術を反映してきました。

 しかしながら、車両の床下スペースや重量、装置の機能の拡張性には限界があり、継続して取り組んできた技術開発成果はN700系のプラットフォームには収まりきらなくなってきました。

 そこで、床下スペース、重量といった制約を解決するために、機器の小型軽量化を一層進めたことにより、従来では不可能であった機器配置を可能としました。

 編成両数やMT比率(出力比率)を柔軟に構成可能な「標準車両」を実現したことで、国内外の様々な線区にN700Sをご提供いたします」

N700S 編成次第でさらなる走行性能アップも可能?

「標準車両」N700S、実際には何両編成が可能なのでしょうか。

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N700系(左)と比べ55%の小型化、約600kgの軽量化を実現したというN700S(右)の主変換装置(2018年3月、恵 知仁撮影)。

 N700Sの量産車は、以下の編成です。

Tc+M+M'w+M+Mpw+M'+Mk+Ms+Msw+Ms+M'h+Mp+Mw+M'+Mw+T'c
※左が1号車、右が16号車。

 4両1ユニットの16両編成、14M2T、編成出力1万7080kW、起動加速度2.6km/h/s、最高速度は東海道区間285km/h、山陽区間は300km/h。これらの数字はN700系(N700A)と同一です。

 JR東海の資料には、N700Sの編成例として以下が挙げられています。

16両

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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