新型コロナ運休中 豪華寝台列車「ななつ星in九州」は何をしていたのか クルーに聞く

JR豪華寝台列車の先駆けとして誕生し、記念の7周年を迎えようとしていた「ななつ星in九州」が、新型コロナウイルスの影響で約4か月にもわたり運休。そのあいだクルーは、何を思い、何をしていたのでしょうか。

JR豪華寝台列車の先駆け「ななつ星in九州」

 九州各地を巡る豪華寝台列車(クルーズトレイン)として、2013(平成25)年10月15日に誕生したJR九州の「ななつ星in九州」は、火曜日から金曜日に3泊4日、土曜日と日曜日に1泊2日のコースで運行されてきました。

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「ななつ星in九州」運行開始前の試運転。この輝きが戻って来る(2013年9月18日、皆越和也撮影)。

 7両編成の客車のうち5両が寝台車で、最大でも30名までしか乗車できず、またひとりあたりの料金は、運行開始の時点で1泊2日コースは18万円から52万5000円、3泊4日コースは43万円から125万円という設定でも話題となりました。

 また運行ルートも何度か変更され、2つのコースで九州各地をくまなく通り、「憧れの列車」として各地でお出迎え、お見送り、おもてなしなどが自発的に行われる人気列車となっています。

7周年を迎える「ななつ星in九州」 しかし… そのときクルーは

 そして2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨や台風18号による路線の被災から、その都度ルートを変更しつつも、今年2020年10月には運行7周年を迎えることになりました。

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球磨川沿いを北上する「ななつ星in九州」(2019年5月9日、皆越和也撮影)。

 しかし今年は新型コロナウィルス感染症の流行により、3月3日(火)から運行休止に。5月25日(月)の緊急事態宣言解除、6月19日(金)の都道府県境をまたぐ移動の全面解除を受け、「ななつ星in九州」も7月14日(火)から運行を再開することになりましたが、この運行休止中の約4か月間、その車両やクルー(客室乗務員)はどうしていたのでしょうか。

「ななつ星in九州」のクルーである原尻早姫さんと、スタッフの筬島(おさじま)圭太郎さんに話を聞きました。

「ななつ星in九州」 判断は正しかった

「ななつ星in九州」の運行休止が公式に発表されたのは2月27日(木)でした。これを聞いたときを振り返って筬島さんは「新型コロナウィルスの影響で休止となったことは残念な気持ちになりましたが、乗客の方々や『ななつ星in九州』を応援してくださっている地域の皆様の安全を守るためということで、判断は正しかったのではないかと思います」と語ります。

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「ななつ星in九州」クルーの原尻さん(右)とスタッフの筬島さん(2020年6月22日、皆越和也撮影)。

 また原尻さんも「お客様や地域の方々にお会いできないのは残念でしたが、安全な世の中になって皆様に笑顔を届けられるようになれば良いなと思い、再開のための準備を進めることに気持ちを切り替えました」と振り返りました。

 当初、5月19日(火)出発分までの運休を発表していた「ななつ星in九州」ですが、4月16日(木)に緊急事態宣言が全都道府県へ拡大されたこともあり、4月20日(月)には6月27日(土)出発分まで運休期間を延長することを発表しました。

 元々、6月30日(火)から7月12日(日)までは車両の定期点検で運休予定だったため、運行再開は7月14日(火)以降へ順延されたことになります。これではスタッフたちのモチベーションも下がりそうな気がします。

大分へ行き磨かれた「ななつ星in九州」 そしてクルーたちは

 しかし筬島さんは、そのような逆境を前向きに捉えました。

「新型コロナウィルスが早く収束してくれることを願いながら、逆にいまだからこそできることはないのか、ということをみんなで話し合いました。運行を再開したとき『ななつ星in九州』にもっと磨きをかけた状態でお客様をお迎えできるよう、準備を整えることに専念しました」(筬島さん)

「ななつ星in九州」の車両は、普段は南福岡車両区竹下車両派出所に留置され、そこで点検整備と清掃を行っていますが、運休中は本来の所属区である大分車両センターへ回送することになります。

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Writer: 皆越和也(フォトライター)

1961年熊本県人吉市生まれ。東京の編集プロダクション、出版社、PR代理店等で四半世紀ほど編集者、ライター、カメラマンなどの業務に携わり、2010年よりフリーのフォトライターに。2011年より拠点を熊本市へ移し国内外で活動中。

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