イラン情勢悪化で空自の “空中給油機” が出動! 最新の国産輸送機C-2が派遣されない? 知れば納得の理由

緊迫するイラン情勢を受け、2026年3月8日、航空自衛隊のKC-767空中給油・輸送機がモルディブへ向けて出発しました。万一の邦人退避に備えた派遣ですが、最新鋭のC-2輸送機ではなく、なぜ「空中給油機」が選ばれたのでしょうか。

万一に備えてインド洋の島国で前進待機!

 愛知県小牧市にある航空自衛隊小牧基地から2026年3月8日未明、KC-767空中給油・輸送機が離陸しました。向かった先はインド洋に浮かぶモルディブ共和国。2月末から悪化の続くイラン情勢を鑑み、万一に備えた移動になります。

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小牧基地の第1輸送航空隊第404飛行隊に所属するKC-767空中給油・輸送機(画像:防衛省)。

 先立つこと3月5日にはKC-767へ座席を積み込む作業が目撃されていました。防衛省から正式な指示が出たのは3月6日のこと。それから各種準備が行われた後、KC-767は出発しました。

 KC-767は、航空自衛隊が保有する大型の空中給油機・輸送機です。空中給油機とは、戦闘機や爆撃機など他機に対して、飛行しながら給油を行える機体のことです。味方の航空機を基地に着陸させることなく、滞空時間や作戦時間を延長できるため、世界各国の空軍が採用しています。

 航空自衛隊では2009年から配備が進んでいます。この際、KC-767を運用する部隊として第404飛行隊が小牧基地で新編されました。

 2026年現在、航空自衛隊が保有するKC-767は4機。航空自衛隊以外で同機を採用しているのはイタリア空軍のみという、世界的にも珍しい機体となっています。

 空中給油に際しては、アメリカ空軍などで採用されている「フライング・ブーム方式」を採用しています。これは機体後方下部から棒状の給油ブームを出し、空中給油機側のオペレーターが操作。戦闘機などの給油口にドッキングし、給油を行います。

 基本的には空中給油機として運用されているKC-767。しかし航空自衛隊では他にも重要な用途で使われています。それが輸送機としての活用です。

 KC-767の機体内部構造を見ると、燃料タンクを搭載しているのは機体の床下部分になります。そのため、胴体の上半分はカーゴスペースになっています。ここには最大30tの貨物を積み込むことが可能ですが、座席を設置すれば最大で約200名の人員を乗せることができます。

 このような使い方を生かし、たとえば、2023年10月から始まったパレスチナ紛争の際にもKC-767がイスラエルに送られており、邦人輸送の任務に従事しました。

【写真】おしりから長い棒を伸ばした自衛隊のKC-767

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