ほとんどマジック「瞬間くもりガラス」の六甲ライナー なぜ窓が突然くもるのか?
神戸市内の住吉駅と人工島「六甲アイランド」を結ぶ六甲ライナーは、住吉駅を発車してしばらくすると、車両の窓ガラスが真っ白に曇ります。気温の変化ではなく、機械的に行われるものですが、理由は何でしょうか。
名称は「瞬間くもりガラス」 パッと切り替わる
神戸市の住吉駅と、多くの企業やマンション、教育機関などが立ち並ぶ人工島「六甲アイランド」を結ぶ神戸新交通「六甲ライナー」。同社のポートライナーとともに、全国でもいち早くATO(自動列車運転装置)を採用した路線で、無人運転も見どころのひとつではあるのですが、もうひとつ、車内で珍現象を見られます。
住吉駅からの発車後、車窓からの景色を楽しんでいると、一気に目の前が真っ白に……。なんと、透明だった車内の窓ガラスが曇ってしまうのです。
それも、じわじわと曇るのではなく、マジックのように一瞬でガラス一面が白くなるので、「瞬間くもりガラス」という通称までついているそう。一定時間が過ぎるとまた、通常の透明なガラスにパッと切り替わります。初見だと、何が起きたかわからず驚くことでしょう。
ではなぜ、このような仕掛けがなされているのでしょうか。
六甲ライナーは高架の構造になっており、途中で住宅街を走行する際、マンションのベランダと同等の位置を通ります。そのため、住民のプライバシー保護の観点から、目隠しするように白く曇るのです。
神戸新交通のウェブサイトによると、このガラスの仕組みは2枚のガラスのあいだに特殊ポリマーが入った液晶シートが挟まっていて、そこへかかる電圧を制御することで、曇り具合を切り替えているそうです。いかにも最新技術な気がしますが、開業当初からのもので、2020年で30年も経っているのですから驚きです。
ちなみに、2005(平成17)年の国際博覧会「愛・地球博」において各会場を結んだゴンドラでも、同じく近隣住民への配慮のために、「瞬間くもりガラス」が採用されていました。
北に六甲山、南に神戸港を望むことができ、さすが「日本三大夜景」を擁する神戸だけあり、景観へのこだわりをつぶさに感じることができます。
【了】
乗客に多大なストレスをかけていますね、これ