戦車の威厳を損ねる? ドローン対策の“ゴテゴテ化” アメリカ軍は最新戦車に採用するのか ハイテクで何とかなる?
ロシア・ウクライナ戦争で、ドローンなどによるトップアタックの脅威にさらされる戦車や装甲車。これには現場急造品も含めた装甲スクリーンで防御しています。果たしてこれは、アメリカが開発を進めるM1戦車の後継に採用されるでしょうか。
システムだけでなく物理的な防御が必要
ロシア・ウクライナ戦争を捉えたSNS投稿動画は、戦車や装甲車がジャベリン対戦車ミサイルやFPV(一人称視点)ドローンに追いかけられて爆炎を上げるシーンでお馴染みになってしまっています。
ウクライナ軍は、こうしたトップアタックから防護すべく、アメリカ軍から供与されたM1エイブラムス戦車にも遠慮なく反応装甲ブロックを貼り付け、コープゲージと呼ばれる追加装甲スクリーンを装備させて、すっかりウクライナ戦線仕様にしてしまっています。そしてこのような戦況が、アメリカの戦車に対する取り組みにも影響を及ぼしているのです。
アメリカのM1戦車は、実戦経験を重ねて「世界最強戦車」を標榜していました。2023年9月、ウクライナ軍に31両が供与されて戦局を変えると期待する向きもありましたが、2024年11月現在は半数の16両が失われています。
しかし、世界は「戦車不要論」どころか、オランダなどは廃止した戦車部隊を復活させようとするなど、“クルマ”の重要性が再認識されています。また投稿されている映像は自軍に有利な宣伝用に切り貼り編集されており、戦場の実態を映しているとは限らないことに注意が必要です。
戦車は経費のかかる重厚長大兵器の代表格で、アメリカはM1の後継戦車はもっと小さく軽くする目論見でした。M1も筐体にはあまり手を加えず、主にソフトウエアや通信などのシステム強化パッケージ(SEP)を更新して対応していました。現在の最新型がSEPv3(システム強化パッケージバージョン3)となっており、次のSEPv4が始まるところでしたが、ロシア・ウクライナ戦争によってこの取り組みでは足りないことを、アメリカ自身も認識しています。
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