【空から撮った鉄道】2回目のロンドン空撮 言葉だけでなく双発機での撮影は苦労することばかり

海外の空撮は言葉の壁があって躊躇します。前回はロンドンの遊覧飛行ヘリからの空撮を紹介しましたが、今回は言葉の壁に躊躇しながらも、なんとか飛行機をチャーターし空撮したエピソードを紹介します。

チャーター会社とは翻訳アプリを使ってメールでやりとり

 2017年の夏、二度目の渡英をしました。前回は2013(平成25)年に訪れ、そのときはヘリの遊覧飛行からの撮影がやっとでした。今回は事前に航空会社へ連絡してプランを作成し、飛行機をチャーターすることにチャレンジします。なお、私の英語力は目を覆うほどひどく、言葉が通じない中よく空撮できたなと、いまも感心しているほどです(笑)。

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ロンドン北部のエンフィールドからさらに東南東へ約14kmに位置するロンドン地下鉄セントラル線ハイノールト車両基地。同線の主力である1992形電車が留置されている。奥に見えるのがハイノールト駅(2017年7月4日、吉永陽一撮影)。

 渡英が決まった5月ごろ、空撮したくとも海外での空撮はどうしたらいいのか分からずにいました。前回の渡英時に得られた経験だと、ロンドン近郊には中小の飛行場が点在しており、空撮チャーターも可能らしいこと。空撮チャーターを行う航空会社は、Google マップで見つかりました。操縦訓練とチャーターを行う会社はそこそこあるようです。

 また、役に立ったのは「Google翻訳」です(笑)。おそらく変な翻訳文だと思うが、言いたいことは伝わるはず。別にGoogleの回し者ではないですが、世界中で一番利用されているであろうアプリを使えば、なんとかなるかなと思いました。つぎに大変助かったのは、友人がちょうどロンドンで短期語学留学をしていたことです。友人も打ち合わせや搭乗時の翻訳に快諾してくれて、渡りに船でした。海外空撮では、コーディネーターをつけるのが安心確実だと思います。今回は資金も乏しく、今後の経験になるだろうと自力でやってみました。

 航空会社とはメールでのやりとりを重ねつつ、渡英します。撮影決行日は7月4日。2017年夏のロンドンは雨も少なく、友人の下宿先に転がりこんだときも晴れていました。撮影当日は、地下鉄に揺られて郊外の駅へ降り立ち、1日一便しかないバスに乗って、ステープルフォード飛行場へ到着します。ここは飛行訓練を主に行う飛行場で、担当パイロットも操縦訓練の教官をしており、打ち合わせも事細かでした。友人は頭をフル回転しながら翻訳してくれ、ほんとうに助かりました。

単発機は不可なので双発機を選択したものの

 渡英前にもらったメールでの情報と、この打ち合わせによって知った内容をまとめると、ロンドン中心部は単発機の飛行が禁じられており双発機となる。世界有数の発着数を誇るヒースロー空港の管制圏内であり、今回は固定翼機(いわゆる普通の航空機。ヘリは回転翼機))なので、管制圏内の飛行はほとんど不可能に近い。なんとか飛行してみるということでチャレンジします。固定翼機を選んだのは、日本より格段と安いチャーター料金だったからです。

 それにしても、ロンドン中心部は単発機飛行がダメというのは意外でした。航空法は各国で定められており、その国によって事情が違います。パイロット氏から「日本では都心部も単発機で飛んでいいのか?」と驚かれました。国が違えば航空法も違うというのを、あらためて知った次第です。

 飛行機はセスナ機ではなく、パイパー社の「セネカ」と呼ぶ双発プロペラのビジネス機です。その左後部ドアを取っ払い、開放のまま離陸して空撮します。頼りなさそうな命綱を借りてシートベルトに取り付け、飛行場内をタキシングしたのちに離陸。開放されたドアの足元はフラップがあり、左のレシプロエンジンが喧しく唸り、風が容赦無く顔を叩きつけます。いまだかつて、これほどまでにエンジンに近づいたことがあるだろうか……。

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チャーターしたパイパー社の「PA-34セネカ」。左後部席のドアが外されており、この場所から撮影した(2017年7月4日、吉永陽一撮影)。

 プランではロンドン中心部の各ターミナル駅と、近隣のジャンクションを撮る予定でした。しかし、ヒースロー空港はあまりに多忙で、管制からは一向に中心部の許可がおりません。ロンドン北部の街エンフィールド上空で待機ののち、南北に一往復という条件で飛行許可が下りました。ヒースローの混雑さは、日本の空港の比ではないなと痛感しました。

 ルートはエンフィールドから西へ少し進み、一気に南下。「アーセナルFC」本拠地のエミレーツスタジアムを横目に南下して、キングス・クロス駅。テムズ川を越えてウォータールー駅、ヴォクソール駅。バターシー発電所付近のブリクストンという街で旋回の後、再びウォータールー駅、キングス・クロス駅を通って、エンフィールドから帰投するというものでした。

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ロンドン地下鉄セントラル線のバックハースト・ヒル駅~ウッドフォード駅間を走る1992形電車。地下鉄でありながらロンドン近郊では地上区間が多く、第三軌条でもあることから踏切はなく人道橋が架けられている(2017年7月4日、吉永陽一撮影)。

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Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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