「水素」で注目!? 実は一筋縄ではない 「旅客機の燃料」の奥深い歴史とは
「水素で飛ぶ旅客機」の話が席捲する昨今の航空業界ですが、現代の旅客機に搭載される燃料に至るまでは、古今東西いろいろな燃料が使われてきた歴史があります。その背景にあるのは、エンジンの発展でした。
「水素」で飛ばすまでの課題はどこなのか
ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスが「ZEROe」というプロジェクトを立ち上げました。これは、水素を燃料とするターボファン・エンジンやターボプロップ・エンジンを開発し、旅客機に搭載するというものです。
歴史を振り返ると、実は航空機に水素を使って飛ばしていたことがありました。たとえば20世紀前半、当時唯一の大西洋横断性能を持つ旅客機として脚光を浴びた、ドイツの飛行船「ヒンデンブルク号」は、水素を浮力として採用していたのです。
ところが1937(昭和12)年、アメリカのレイクハースト海軍飛行場(ニュージャージー州)に着陸しようとした瞬間、爆発炎上。火災の原因は明らかになっていないものの、水素を使った飛行船は当時の技術では危険とされる潮流もあり、下火となりました。
技術の革新には、いつでも大きな課題が付きまといます。水素を燃料とするガスタービン・エンジンは、その安全性はもちろん、燃料タンクが巨大になってしまうことの懸念もあるでしょう。環境にやさしい水素エンジンの開発は急務ではあるものの、実現にはまだまだ課題がありそうです。
ところで、現在の旅客機のエンジンの燃料は、どのようなものが使われているのでしょうか。実は現代の旅客機は、高圧空気の中で燃焼できる物質であれば、多くの燃料に対応できるものが多いのです。
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