「水素」で注目!? 実は一筋縄ではない 「旅客機の燃料」の奥深い歴史とは

エンジンの発展に見る燃料の歴史

 旅客機を含めた「航空機」のエンジンは、現在、自動車のエンジンと同じようにピストンを動かすことでプロペラを廻し、空気を押す力で推進力を得る「レシプロ系エンジン」、そして現代の旅客機で主流となっている、圧縮機で圧力を高めた空気のなかに、燃料を噴射して燃焼を連続して起こし、その排気をタービンの回転力として再利用し圧縮機を回転させる「ガスタービン・エンジン」に大別されます。

 レシプロ系エンジンは、自動車と同じく化石燃料であるガソリン系のものを、ガスタービン・エンジンは灯油系のジェット燃料を使用するのが主流です。先述の「燃焼できる物質であれば……」というのは、後者の場合に当てはまります。

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「ライト・フライヤー」の初飛行(画像:アメリカ議会図書館)。

 航空機に搭載するエンジンは、軽いこと、エネルギー効率がよいことが求められます。そして、エンジン進歩の歴史が、航空機の性能向上に大きく貢献したことはもちろん、採用される燃料の歴史にも影響を及ぼしてきました。

 1903(明治36)年、世界初の動力飛行を果たしたとされる飛行機「ライト・フライヤー」。これが成功した大きな要素のひとつは、ガソリンを燃料とする軽量のレシプロ・エンジンで2翅のプロペラを廻したことが挙げられます。

 その後50年近く、このガソリン燃料のレシプロ・エンジンはどんどん発展し高出力化。これが飛行機の速度向上へつながり、プロペラ推進の限界となる音速近くのスピードへと至りました。いまでもガソリン燃料によるレシプロ・エンジンは軽飛行機に使用されています。

 一方、第2次世界大戦下、ガソリンを輸入に頼っていたドイツなどでは、その代わりに重油を燃料とするディーゼル・レシプロ・エンジンを搭載した飛行機が開発されたこともあります。しかし、この種のエンジンは燃料を高圧で燃焼させるために重量が重くなってしまうことから、主流にはなりませんでした。

燃料の歴史も変えた! 元祖「ジェットエンジン」機

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