【空から撮った鉄道】台風被害から復活した箱根登山鉄道 復旧前後の姿を見比べる

箱根登山鉄道は2019年の台風19号により、複数箇所で甚大な被害を受けてしまいました。2020年7月23日に復旧した現在の姿をお伝えします。

この記事の目次

・箱根登山鉄道は3ヶ月工期短縮で全線復旧
・静岡から帰投中に復旧後の姿を記録
・古豪のモハ1形・モハ2形には会えず
・蛇骨陸橋付近の状況
・大沢橋梁付近の現状?
【画像枚数】全19枚

箱根登山鉄道は3ヶ月工期短縮で全線復旧

「空から撮った鉄道」では二度目の登場となる箱根登山鉄道です。前回は、「【空から撮った鉄道】終焉の時迫る、箱根登山鉄道の「古豪」たち」として、モハ1形、モハ2形を紹介いたしました。今回は台風被害による運休から復活を遂げた、現在の姿を紹介します。

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全線復旧となり、早川橋梁(出山の鉄橋)を渡る3000形・3100形「アレグラ号」(2020年10月7日、吉永陽一撮影)。

 2019年10月6日に発生した台風19号は、猛烈な暴風雨を伴いながら関東地方から東北南部を縦断し、広範囲に渡って甚大な被害をもたらせました。10月12日、箱根登山鉄道は線路敷きに損傷が発生し、中でも大平台駅~仙人台信号場間と宮ノ下駅~小涌谷駅間が豪雨による土砂崩れによって、土砂流入、橋梁損傷、橋梁流出、路盤流出という、甚大な被害に遭ってしまいました。

 復旧には相当時間がかかることとなり、全線運休の間は箱根湯本駅~強羅駅間でバスによる代行輸送が行われました。全線復旧は当初2020年秋になる見通しでしたが、工期が約3ヶ月も短縮することができ、2020年7月23日に全線復旧するに至りました。工事は昼間だけでなく夜間も行えたこと、降雪が少なかったこと、国の支援が迅速だったことなどが重なって3ヶ月も工期短縮でき、全線復旧が前倒しできたのです。

静岡から帰投中に復旧後の姿を記録

 無事に復旧できた箱根登山鉄道は、新型コロナウイルス感染症という困難な状況下、毎日毎日山道を踏み締めて強羅まで登り降りしています。私は2019年11月に現場上空を飛行した際、小涌谷駅付近の被害状況を記録しました。いままであった橋梁が山の斜面ごと消えている光景を目の当たりにして、言葉が出ませんでした。それから11ヶ月後の2020年10月7日。走り続けている姿を空撮することができたのです。

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台風19号の影響により箱根湯本~強羅間が不通となり、強羅駅にはモハ1形や2000形「サン・モリッツ号」、3000形・3100形「アレグラ号」が満線条体で留置されていた。強羅駅前の人影もまばらである(2019年11月13日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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