世界最速!リタイヤ超速?なトホホ旅客機「コンベアCV880」 スピード全振りはどう実現?

ジェット旅客機の草創期に「世界最速」のコンセプトで開発されたのが「コンベア880」。どう開発され、そのスピードを生み出す秘訣はどこだったのしょうか。ただ、この飛行機、速度だけではない、喜ばしくない速度記録もありました。

「スピード狂」の意向が反映された「世界最速」

 ジェット旅客機のスピードは、「コンコルド」など超音速旅客機を除き、半世紀以上大きな変化はありません。ところがジェット旅客機の草創期には、その高速性をウリにして開発された旅客機もありました。

 筆頭に挙げられるのが、アメリカ・コンベア(現ボンバルディアの一部)により開発され、1959(昭和34)年に初飛行した「コンベア880」です。

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コンベア880の「エルビス・プレスリー」仕様機(画像:kitmasterbloke[CC BY-2.0〈https://bit.ly/3ktY4wO〉])。

 コンベアCV880の開発のキャッチコピーは「世界最速」。これは旅客機が開発されるにあたり、初期発注を行う航空会社「ローンチカスタマー」のTWA(トランスワールド航空)のオーナーであり、世界最速の飛行記録をいくつも塗り替えるなど、いわゆる「スピード狂」として知られた大富豪、ハワード・ヒューズ氏の意向を多分に反映したものです。

 CV880は、当時先行して開発されたボーイング707(マッハ0.81)やダグラスDC-8(マッハ0.72)より上のマッハ0.89(約990km)を設計値として打ち出します。ちなみに冒頭に述べた超音速旅客機「コンコルド」は1969(昭和44)年初飛行で、CV880が登場した頃は、まだ技術的に困難な時代でした。

 とはいえ、そのデザイン自体は、主翼下に4発エンジンを搭載した単通路(ナローボディ)機といった位置づけ。外観はライバル機のボーイング707やダグラスDC-8と似ていても、サイズはCV880の方がひと回り小さいものでした。では「スピードキングの源」はどこにあったのでしょうか。

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