カナダ海軍トップを直撃! 現役司令官が語った海上自衛隊 アジア太平洋 新型コロナ
カナダにとって重要な日米共同演習「キーンソード」
――昨年(2020年)、「ウィニペグ」は日米共同演習「キーンソード」に参加しました。これはカナダ海軍にとって、2018年に続く2回目の参加となります。カナダ海軍にとって、この演習に参加する意味とは何でしょうか?
「キーンソード」のように、立場を同じくする国々やパートナー国と共に訓練することの価値は侮れません。こうした訓練への参加は、新しい戦術を垣間見ることができるだけでなく、アジア太平洋地域の安全保障と安定に不可欠なパートナーシップを強化しながら、カナダ海軍が適応性を維持できるようにするのに役立ちます。また、参加国の軍人同士が大切な個人的な絆を築き、それがお互いの信頼につながります。
カナダ海軍は、2018年の「キーンソード」にオブザーバーとして初参加しました。しかし、今回は「ウィニペグ」が実際に演習に加わりました。「キーンソード」では、対潜水艦戦訓練、「ウィニペグ」が搭載するヘリコプターCH-148「サイクロン」と日米艦艇のヘリコプターとのクロスデッキ(お互いの航空機をお互いの艦艇に着艦させること)、アメリカ海軍の補給艦との洋上補給訓練、そして最後に大規模な洋上戦闘訓練を実施しました。
戦闘という観点から見ると、「キーンソード」はおもに対潜戦に焦点を当てているので、同演習はそうした能力を研ぎ澄ますと同時に、任務を遂行する際に他国軍や打撃群と一体となり行動するための艦艇の能力を磨く機会でもあります。
「キーンソード」は、参加部隊の戦闘能力を強化する大規模な洋上戦闘訓練で幕を閉じました。「ウィニペグ」にとって、これは6か月間の努力の集大成でもあります。また、我々の乗員が、「リムパック(環太平洋合同演習)」で学んだ教訓を基にして、どれだけの成果を挙げてきたかを確認し、これらの部隊と一体となり、現在世界で最も戦闘能力の高い軍隊を相手に実力を試すことができる機会でもありました。
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カナダ海軍は、新型コロナウイルスの世界的流行という極めて厳しい状況下においても、万全の対策を講じつつ、北朝鮮の瀬取り監視などを通じてインド太平洋地域における活動を今後も継続していきます。その際に重要となるのは、日本をはじめとする地域のパートナー国であるということ、そしてそうした国々とは実際の演習などを通じて連携が強化されていることが、改めて認識できました。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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