艦長より怖い海自の先任伍長って何者? 上官に意見できる例外的立場、その存在意義

海上自衛隊の護衛艦では、艦長を父親にたとえると「先任伍長」は母親になるそうです。この「先任伍長」、上官の命令を拒否することも可能な、自衛隊という組織においてはかなりユニークな存在です。もちろん、相応の理由があります。

階級社会における例外のナゼ

 軍や自衛隊という組織は完全な縦社会で、上官の命令は絶対です。極論すれば、白いものでも上官が「黒」といえば黒になる職場です。

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海上自衛隊で最も大きい護衛艦「いずも」。乗員は500名以上だが、「先任伍長」はひとりだけ(画像:海上自衛隊)。

 それは海の上、海上自衛隊の護衛艦でも同じです。艦長を筆頭にナンバー2の副長、そして各部署の長である航海長や砲雷長、機関長などがいます。しかし艦内には、時にトップであるはずの艦長に意見し、航海長たち幹部の命令を訂正することすらできる権限を持つ、「先任伍長」と呼ばれる隊員がいます。

 この「先任伍長」、なにやら階級のひとつのようですが、海上自衛隊の階級にそのようなものはなく、「伍長」という階級すらありません。ただ、詳細は後述しますが、少なくとも階級的には尉官や佐官などの士官より下の立場です。にもかかわらず士官が就く艦長や幹部といった上官へ意見できる立場でもある、というわけです。

「先任伍長」、何者なのでしょうか。

【写真】左胸に輝く金色の「先任伍長識別章」のアップ。

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コメント

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9件のコメント

  1. 艦長が数年で異動するなんて驚きです。頻度が短かすぎでは?いろんな艦艇を経験することがキャリア形成につながるのものなのでしょうか?

  2. 先任伍長は最古参ではなく、現在はただの役職なので海曹長の中から推薦で選ばれます。
    だから昔ほど威厳はないし、ましてや上官の意見に逆らう先任伍長とか聞いた事ありません。今は下からも舐められてる先任伍長も多数居ますし、上官に逆らったり、最も怖かった武闘派先任伍長は昭和の時代の過去話

  3. 現場の叩き上げですからなあ!!そういう人の具申は重要なのです

  4. こういう現場の親方って、いなくなりましたよね。

  5. 偶然見た事があるが、呉所属の船に乗せてもらってことがあるが、海自の新兵が食堂の熱湯の圧力釜の中に先輩の指導で手を入れていたのを見た事がある。完全なイジメなのにその後全く報告が無かった。やっぱ海自は恐ろしいところだと震えあがったことがある。

  6. 私は過去に潜水艦に乗ってましたが、先任伍長より先任兵長の方が怖かった。

  7. 米海軍では有用なシステムだが、海自ではあまり役に立っていない。
    そもそも先任伍長の学校がない。ただのご意見おじさん集団であり、らofficeウェアすらまともに使えない方たちが多い。「メールうっとけ」などと若い衆に平気でのたまう。
    海自にはまだ早い。

  8. 陸自も米軍を真似て上級曹長を取り入れてるようですが。自衛隊にはそぐわない。米軍の古参はいくつもの戦場を経験し・・・生き残り、まだ続けてる。だから、すげーなこいつって兵隊も幹部も一目置くわけで。
    形だけの真似は意味ないかもですね。

  9. 先任伍長であろうがなかろうが明らかに間違った命令だったら意見できるはどの階級も同じ。
    また先任伍長も自分の好みや気分で上官に意見するわけじゃないから先任伍長だけが特別だという事はない。