バスは「地下鉄新線の代わり」になり得たか 大阪「いまざとライナー」2年でどう変化

大阪メトロ今里筋線の延伸計画を代替する交通手段として、BRT「いまざとライナー」が2019年から運行されています。大阪市は2年目の利用状況を発表しましたが、どのような傾向が見られたのでしょうか。

1日あたり利用者はコロナ前とほぼ同水準

 大阪市が社会実験として運行しているBRT(バス高速輸送システム)の「いまざとライナー」が、4月で2019年の運行開始から2年を迎えます。

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いまざとライナーで使用されるバス車両(画像:大阪メトロ)。

「いまざとライナー」は今里筋と長居公園通の鉄道空白地帯を結ぶバス路線です。現在、地下鉄の今里駅から長居駅へ向かう「長居ルート」と天王寺駅へ向かう「あべの橋ルート」の2路線が運行されています。このうち「長居ルート」は、大阪市の地下鉄整備計画にある大阪メトロ今里筋線の延伸区間(今里~湯里六丁目)および新規路線「敷津長吉線」(住之江公園~喜連瓜破)の一部区間をつないだものになっています。

 大阪市は2年目の利用状況を、2月19日に発表しました。それによると、平日の1日平均利用者数は約2900人(2020年12月時点)。1年目の同時期までの平均利用者が約3000人であり、その後コロナの影響があったことを考慮すると、一定の利用者の定着がうかがえます。

 利用の多い区間は「湯里六丁目~地下鉄長居」と「田島五丁目~あべの橋」、「地下鉄今里(南)~大池橋」でした。特に、昨年比増加が最も大きかった停留所は大池橋バス停で、2019年と比較して約14%の増加が見られます。今里筋と勝山通の交点にあり、JRや近鉄、地下鉄のいずれとも離れた、ルート内で最も鉄道駅から遠い地点の一つです。

 同区間はいずれも大阪シティバスの路線が3~6本程度運行されていますが、渋滞が多発する区間であるのに加え、各停留所の乗り降りも多いため、定時運行に課題がありました。「いまざとライナー」は停留所を絞ることで所要時間を短縮し、鉄道空白地帯の利用者獲得につながったと思われます。

 とはいえ、1便当たりの利用者数は湯里六丁目→地下鉄長居間で8.2人、最も多い杭全→あべの橋間でも9.8人です。今里筋線延伸への需要の目安である今里筋線~いまざとライナー間の利用も、1日420人程度にとどまっています。また、沿線事業所を対象に行ったアンケートによると、8割が鉄道および自転車を利用するという結果になり、いまざとライナーの利用者はわずか3%。利用者の中心は、沿線から都心部への通勤・通学となっているようです。

 そもそも「いまざとライナー」は、大阪市が2014(平成26)年に発表した地下鉄整備事業の試算により、今里筋線延伸について「収支が見込めない」とされたことをうけ、沿線の代替交通として浮上したものです。地下鉄の建設には約1380億円かかると試算されているのに対し、BRTではバス車両やバス停の整備など必要最小限の費用で済むメリットがあります。

 ちなみに、市内の他の例として、大阪シティバスでは長堀鶴見緑地線の延伸計画ルートの大正~鶴町地区を走る「91系統」などで、朝夕に一部停留所を通過する急行を運転しています。

 大阪市では3年目をめどに効果検証を行うとしていますが、「停留所を絞って速達運行」というBRTの一定の利便性が実証されれば、大阪市内の他の鉄道空白地帯でもBRT、あるいは既存系統の急行運転の導入に繋がるかもしれません。

【了】

【画像】幻の地下鉄「敷津長吉線」と「いまざとライナー」のルート

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コメント

1件のコメント

  1. 既存の地下鉄今里筋線にはどのくらい利用者が乗っているのでしょう?まさかバスで済む程度とは思いませんが。