「赤い鉄橋」で電車止め上田電鉄全復旧 地方鉄道の存続へ 問われる地方自治体の覚悟

流された鉄橋が復旧し、上田電鉄が全線で再開しましたが、経営環境が厳しい地方鉄道で、災害は路線存続に関わる事態。今回できた復旧の背景には、上田市の覚悟がありました。今後の地方鉄道を考えるにあたり、モデルケースになりそうです。

『真田丸』効果もあったが… 鉄道維持に問われる沿線自治体の覚悟と努力

 上田電鉄別所線は、北陸新幹線も止まる市街中心部の上田駅と別所温泉駅を結ぶ、上田市内11.6kmの路線。沿線は「信州の鎌倉」とも呼ばれる塩田平という地域です。

 近年、別所線の輸送実績は2011(平成23)年度の117万6000人を底に、北陸新幹線の金沢延伸開業、善光寺のご開帳、上田市が舞台のNHK大河ドラマ『真田丸』などを背景に、131万3000人まで盛り返していました。

 しかし、被災した2019年度は111万6000人へ大きく減少。そしてこのコロナ禍です。

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運転再開一番列車の様子(画像:上田電鉄)。

 上田市の土屋陽一市長は、別所線を「通学・通勤、高齢者の通院など生活交通としての役割はもとより、教育、文化、景観、環境、観光など様々な側面で、上田市にとって欠くことのできない大切な財産」と、位置づけます。

 また、上田市都市建設部の山田晃一係長は、地域から多くの署名や募金が集まったことが、この形で復旧することへの後押しになったと話します。

「これからがスタートです。事業費を使って残して良かったと思ってもらえるよう、努力していきます」(上田市 土屋陽一市長)

 いま、経営環境が厳しい地方鉄道。こうした災害復旧にあたって、関係自治体の覚悟と努力が将来を左右する場面が今後も発生するでしょう。またJR北海道が「単独では維持困難な路線」を発表するように、災害がなくても、鉄道の維持自体を関係自治体がより主体的に考えざるを得ない状況になってきています。

 そうしたなか、上田市が決断し、復旧した別所線。その今後の取り組みは、地方鉄道の将来を考えるモデルケースのひとつとしても注目したいところです。

 ちなみに今回の全線再開にあたり、上田電鉄別所線はその当日限定で全線無料にされています。早朝5時55分発の再開一番列車(2両編成)には、193名が乗車したそうです。

【了】

【見比べビフォーアフター】うわぁ……という状況だったのです

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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