「海警局」「危害射撃」…尖閣周辺のニュースをより理解するためのキーワード5選

報道で耳目に触れることも多い、沖縄県の尖閣諸島をめぐる話題については、ふだんあまり馴染みのない言葉も頻出します。一連のできごとを理解するために重要な、5つのキーワードについて解説していきます。

自国領海でも外国船に国内法が適用できないのはなぜ?

 海には海の「国際ルール」があります。

免除

 前項で「外国の軍艦や公船に対して、沿岸国の法律に違反したからといって強制的な措置をとることはできない」と説明しましたが、その理由となるのが海上の国際ルールにおける、この「免除」という考え方です。

「免除」とは、「ある国の国家機関やそれに属する人や艦船などに対して、他国の法律を執行したり裁判にかけたりすることができない」という国際法の原則です。海洋に関するさまざまなルールについて定める「UNCLOS(国連海洋法条約)」第32条においても、一定の例外はあるものの、軍艦や公船に対する免除が認められており、たとえ沿岸国の主権が及ぶ領海においてさえも、沿岸国の法令違反を確認するための立入検査の実施や、ましてや拿捕や艦内での乗員の逮捕などを行うことはできません。

保護権

 上記の「免除」に加え、国際法上、領海においては沿岸国の主権に対する一定の制限が加えられています。それが「無害通航権」です。領域国に無断で侵入しただけで国際法違反となる領空とは異なり、領海においては他国の艦船がただ単に通航するだけであれば国際法上、問題はありません。

 これが無害通航権ですが、しかしだからといって、他国の領海内でどんなことをしても良いというわけではありません。たとえば領海内を理由もなくうろうろしたり(徘徊)、錨を下ろしたり、あるいは沿岸国の秩序や安全を乱すようなことを行えば、それはもはや無害通航とは見なされなくなるのです。

 このように、他国の艦船による無害通航にあたらない行為に対しては、先ほど触れたUNCLOSの第25条に基づき、沿岸国はそうした行為を止めさせるために必要な措置をとることができます。これが「保護権」です。

 しかし、保護権の行使に際しても、やはり免除を有する軍艦や公船に対して沿岸国がとり得る措置は、原則としては領海外への移動の要求を促すにとどまります。尖閣諸島において、領海侵入した中国の海警局船に対し海上保安庁の巡視船が退去要求を行っているのは、まさに保護権の行使です。

 ただし、相手側の出方によっては、相手側の進路をふさぐ、あるいは放水銃などを使用することも許容され得ます。

【画像】海保屈指の歴戦の船「みずき」 尖閣諸島中国漁船衝突事件にも

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