「海警局」「危害射撃」…尖閣周辺のニュースをより理解するためのキーワード5選

報道で耳目に触れることも多い、沖縄県の尖閣諸島をめぐる話題については、ふだんあまり馴染みのない言葉も頻出します。一連のできごとを理解するために重要な、5つのキーワードについて解説していきます。

尖閣諸島に関するニュースはこれでバッチリ! 5つのキーワードを解説

 最近(2021年4月現在)、ニュースや新聞などで尖閣諸島に関する話題をよく目にするようになりました。しかしそのニュースを理解するためには欠かすことができない、いくつかのキーワードがあります。そうしたなかから、特に重要な5つについて解説していきます。

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第11管区海上保安本部 石垣海上保安部の巡視船「とかしき」。2021年4月現在、尖閣領海警備専従部隊に所属する(画像:第11管区海上保安本部)。

海警局

「海警局」は、2013(平成25)年に、それまで中国に存在していた4つの海上法執行機関を統合する形で設立された組織で、日本でいうところの海上保安庁に相当します。ただし、海上保安庁が、海上犯罪への対応はもちろんのこと、まさに尖閣諸島で実施しているような領海警備や、映画『海猿』で描かれたような海難救助まで幅広い任務を遂行しているのに対して、海警局の場合はおもに海上犯罪への対応や海洋権益保護、領海警備にあたっており、海上保安庁と比較するとその役割は限定的です。

 さらに、2018年には中国国内の機構改革にともない、海警局は中国の最高軍事指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある武装警察の下に置かれることになったため、より軍事的な性格を帯びた組織になったと考えられています

海警法

「海警法」は、2021年に中国で施行された、海警局の活動や任務に関する根拠法です。しかし、その内容には国際法上のさまざまな問題を含んでいます。

 たとえば第21条の規定です。同条には「中国の『管轄海域』において、中国の法令に違反している外国軍用艦および政府船舶に対し、海警局船は同海域からの退去を命じるための必要な警告や措置をとることができ、さらにそれでもなお海域を退去せず、重大な危害や脅威を与える場合には、強制排除や強制曳航などの措置をとることができる」と規定されています。

 この「管轄海域」の範囲は同法において明記されていませんが、領海・接続水域・排他的経済水域・大陸棚などがこれにあたると考えられています。しかし国際法上、これらの海域を航行する外国の軍艦や公船に対して、沿岸国(この場合は中国)の国内法違反を理由に、ただちにこうした強制的な措置をとることは許容されません。

 さらに、第22条では外国の公船に対する武器の使用なども明記されていますが、上述の第21条の内容も含め、こうした措置は場合によっては、現在の国際社会の基礎ともいえる国連憲章に違反することになります。

【画像】海保屈指の歴戦の船「みずき」 尖閣諸島中国漁船衝突事件にも

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