「宇宙船の乗り心地」どうですか? 「乗り比べた男」に聞く 3度目の宇宙行き目前に
宇宙船の乗り心地は?
――自分ひとりで乗り心地を制御できるものではない、ということでしょうか?
ええ。そもそも服からして、打ち上げ、帰還、あるいは宇宙ステーションへのドッキングや分離など、危険な動作をするところでは、与圧服を着ています(注:与圧服は宇宙服の一種で、打ち上げ時、ドッキング・分離時、帰還時に宇宙船内で着るもの)。
これにより、たとえば空気が漏れる、船内の圧力が下がるというような万一の際でも与圧服が身を守ってくれる設計になっています。これを着込まなければいけないというのも違いになります。
――揺れや音といった感覚的な面はどうでしょうか?
スペースシャトルとソユーズで比べると、シャトルは横揺れがけっこうあります。一方、ソユーズはスーっと上がる感じです。両者の違いは、脇に固体ロケットブースター(離陸を補助する火薬式ロケット)が付いているか否かです。もちろん加速度の揺れは常にあるのですが、乗り心地への影響はブースターの方がはるかに大きいです。
――固体ロケットブースター! なるほど、そこが違いになるのですか?
液体ロケットエンジンの推力は、打ち上がるのと反対方向にまっすぐ働くのですが、固体ロケットエンジンは、中で横方向に燃えることがあります。詰められた火薬の燃え方にバラつきがあるため、横方向の「ガタガタガタガタッ」という揺れが強いのです。スペースシャトルは、燃焼が終わって固体ロケットが離れるまで揺れますが、離れた途端にスーっと揺れがなくなります。
我々はよく「大型トラックで砂利道を猛スピードで走る感じくらい」と言っていますが、目の前も揺れていますし、たとえばスイッチを押そうとしても間違えて隣のスイッチを押しかねないほどです。
――実感のこもったお答えですね。どのくらい揺れるのか、事前のシミュレーションで体験できるものなのでしょうか?
音とか若干の揺れは事前にシミュレーションできますが、あそこまでの揺れは模擬していなかったですね。私の打ち上げは比較的揺れが少なかったと言われているので、もっと凄い回があったのかもしれません。
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