「3Dプリンター製の飛行機」が飛ぶ日 航空産業の地図を塗り替える可能性【Merkmal】
製造効率化だけでは見誤る 3Dプリンターの多様な「恩恵」
ICAO(国際民間航空機関)は2016年の総会で、2050年にCO2(二酸化炭素)の排出量を2016年の時点から50%削減する方針を発表した。それ以来、航空機メーカーやエンジンメーカー、エアラインはCO2の排出量を減らすさまざまな取り組みを進めているが、3Dプリンター技術がそれに寄与する可能性がある。
CO2排出削減の有効な手段のひとつが航空機の軽量化だ。軽量で強度が高く、製造に必要な資源の量も低減できる3Dプリンター製部品の多用によって、航空機の軽量化を図る取り組みは世界各国で進められている。
アメリカのエンジンメーカーGEアビエーションが、ボーイングの新型旅客機「777X」への搭載を前提に開発したターボファン・エンジン「GE9X」には、約300点の3Dプリンターで製造された部品が使用されている。同社は3Dプリンター製部品の適用による軽量化によって、GE9Xは既存の同クラスのエンジンに比べて、約20%の燃費改善を達成したと述べている。
また、3Dプリンター製部品は、航空機の開発期間の短縮にも寄与する。
たとえばイギリスが開発計画を進めている新戦闘機「テンペスト」だ。計画に参加しているBAEシステムズは、デジタル技術を使用してテンペストの風洞実験用模型を設計し、3Dプリンターで製造している。光造形法などの従来の手法に比べ短期間で風洞実験用模型の製造に成功している。
韓国は、2026年の就役開始を目指して開発を進めている国産戦闘機「KF-21」に3Dプリンター製部品を使用することを明らかにしている。これは、部品の国産化率の向上を目指したものだ。
以前、韓国がロッキード・マーティンと共同で開発した超音速練習機T-50の国産化率は59%だったが、韓国はこれを65%まで引き上げることを目標にしており、3Dプリンターが、その実現のための手段とされている。
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