「3Dプリンター製の飛行機」が飛ぶ日 航空産業の地図を塗り替える可能性【Merkmal】
航空機部品への3Dプリンターの活用が進み、それを外装の一部に用いたサーブ機の実証実験も良好な結果が得られた。3Dプリンター製部品の普及は、航空機の産業地図を塗り替える可能性を秘めているが、新たな懸念も顕在化している。
3Dプリンター製の航空機部品、ついに「外装」も
スウェーデンの航空機メーカーであるサーブが2021年3月30日、開発と製造を手がけているJAS39「グリペン」戦闘機に、3Dプリンターで製造した外装部品を装着して飛行試験を行った。
試験でグリペンに装着されたのは、高品質ナイロンポリマー「PA2200」を素材に「アディクティブ・マニファクチャリング」(積層造形技術)を使用して、3Dプリンターで製造された機体の外装パネルだ。機体の当該部位を3Dスキャニングしてモデルを作成し、3Dプリンターで製造されている。
3Dプリンターで製造された部品の航空機への適用は増加の一途をたどっているが、従来の手法で製造された部品に比べて飛行中に生じる摩擦熱や衝撃に対する耐久性の実証データに乏しく、安全性が担保されていないことなどから、現時点で外装部品への適用は進んでいなかった。サーブは今回、試験後に行った検査において、3Dプリンター製の外装部品に構造上の変化は生じなかったとしている。
同社で開発プロジェクトマネージャーを務めるハカン・ステーク氏は、3Dプリンターで製作した部品の活用の幅が広がれば、部品の調達に要する時間も、修理に要する時間も短縮されると期待を寄せている。また同型機から取り外した部品を使用する、いわゆる「共食い整備」の必要性も無くなると述べており、サーブは今後、より柔軟性と耐久性の高い素材の検討と、整備場に3Dプリンターを輸送するためのコンテナ化など、実用化に向けたシステム開発を進めていく方針を示している。
サーブが行った試験は航空機における整備効率の向上を狙ったものだが、航空機の生産や開発においても、3Dプリンター製部品の使用が増加しているのだ。
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