「そのバギー売って!」アメリカの若者熱狂「デューンバギー」とは 今も新車で遊べる!

1960年代半ばから1970年代初頭にかけて、あらゆるメディアで大人気を博したカリフォルニア生まれの「デューンバギー」。プラモデルなどでもおなじみになったスタイルのクルマ、その生みの親は、“類似品”とも戦うことになりました。

遊びのためのクルマ「デューンバギー」

 シャシーに簡易なボディを載せ、ゴツめのオフロードタイヤを履いたオープンカー――プラモデルやラジコンなどでよく見るスタイルですが、それは「デューンバギー」が基になっているかもしれません。デューンバギーとは1960年代初頭のアメリカで生まれたレジャーカーの一種で、主に海岸や砂漠などのオフロードをドライブして楽しむクルマです。

 非常にシンプルな構造で扱いやすく、スタイリッシュなFRP(繊維強化プラスチック)製オープンボディを持っていたので、オンロードでも楽しむことができました。オン・オフ問わない快活なキャラクターが若者たちへおおいに受け、アメリカ西海岸地区で爆発的な人気を博すと、瞬く間に世界中へと広がりを見せました。そしてこのデューンバギーの元祖となったのが「メイヤーズ・マンクス」という名前の小さなクルマでした。

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1969年式メイヤーズ・マンクス。その小さなオープンボディは、フェンダーとバグアイがクラシックな雰囲気を醸し出す(山田剛久撮影)。

 当時、「ビートルズ」に象徴されるイギリスの音楽や若者文化がアメリカに上陸し、いわゆる「ヒッピー」や「フラワー・ムーブメント」といった自然回帰的な発想を基盤とする価値観・生活様式の変革が若者たちの間で巻き起こりました。ときを同じくして、アメリカでは「公民権運動」が勢いを増し、ベトナム戦争への反対運動も大きな高まりを見せています。

 この大きなムーブメントは、アメリカ固有の自動車文化である「ホットロッド」(クラシックカーに大排気量エンジンを搭載し、派手な装飾を施すといったカスタムカー文化)同様、アメリカ西海岸の都市を中心として起こりました。「デューンバギー」が生まれたのは、こうした時代と場所でした。

 デューンバギーの「デューン」とは西海岸によくある「砂丘」、「バギー」とは「バグ(虫)」の意味で、もともとは砂丘や砂浜などを走り回るホットロッドだったと言ってよいでしょう。

 最初、ドイツ製の大人気車種フォルクスワーゲン「ビートル」の廃車体を安価で入手し、そのボディを取り去り、シャシーだけの「バギー」で走りまわる人々が現れました。シンプルなシャシーと空冷エンジンを持つビートルは遊びグルマのベースとして最適であり、それを廃物利用するというスタイルが、先に触れた「自然回帰的」なムードとマッチしていたのかもしれません。そうしたなか、カリフォルニアでヨットのデザインや製作を生業としていたひとりの男が、こうした遊びグルマ、バギーに着目します。

【写真】「ビートル」譲りの空冷エンジンのアップほか

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コメント

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2件のコメント

  1. 「バギー」とは軽装四輪車とか二輪馬車の事を言うのであって「虫」とは無関係だと思いますよww

    • コメント有難うございます! ご指摘の通り、元来「Buggy」は、ある種の車輌形態をさす単語ではありますね!それではその語源に遡るとなぜ、それらはなぜBuggyと名付けられたのでしょう? 私はその語源は「虫」だと考えています。また一方で、今回のテーマだったDune Buggyについていえば、このカテゴリ成立の背景にVWビートルの存在が不可欠であったことは間違いありません。そしてVWビートルはそのボディ形状から、米国では早くからBug(虫)と呼ばれていました。従いまして、あくまで私見ですが、Dune BuggyにおけるBuggyという単語の意味が「虫とは無関係」とは到底考えられないのであります。なるほど、このような考えもあるのだぁ程度に、ご理解を賜れば幸いでございます。