F-35が新世代戦闘機の“正統”になったワケ 旧世代F-15もまだまだ使う前提? 運用の実際

自衛隊はF-35を護衛艦「いずも」に搭載すべく準備を進めています。これはアメリカが同盟国にF-35を配備させる一環でもありますが、アメリカ軍はこの第5世代戦闘機を実際どのように使っていこうとしているのでしょうか。

第5世代戦闘機計画から生まれたF-22とF-35戦闘機 明暗を分けたのは

 2021年10月初頭、アメリカ海兵隊岩国基地のF-35Bが日本の護衛艦「いずも」での発着艦実証試験を成功させました。日本にとって太平洋戦争以来となる空母艦載機の実現が視野に入っています。それも、F-35が登場したために実現したといえます。
 
 F-35「ライトニングII」はアメリカで1980年代に計画された「第5世代戦闘機」のひとつであり、アメリカが同盟国にも配備させ、旧世代の戦闘機を更新しているモデルです。一方、もう一つのアメリカ製第5世代戦闘機としてF-22「ラプター」もありますが、こちらはすでに生産が打ち切られています。F-35はなぜ世界中で使われるようになったのでしょうか。そしてアメリカ軍は、実際にこれをどう運用していくつもりなのでしょうか。

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第5世代戦闘機のF-22(手前)とF-35(画像:アメリカ空軍)。

 戦闘機に地上や軍艦を標的にする役割(攻撃機)を持たせる試みは第2次大戦後半から始まりました。その流れは戦後も引き継がれ、現代では両者の役割を兼ねた戦闘攻撃機というものが各国で運用されるようになっています。とはいえ、運用状況は、空対空戦闘または空対地(艦)攻撃のいずれかにウェイトを置いて運用するというのが主流です。

 アメリカ製第5世代戦闘機として運用されているF-22とF-35、前者は「先進戦術戦闘機計画」、後者は「統合打撃戦闘機計画」という別系統のプロジェクトで実用化されましたが、2機種とも戦闘機と攻撃機両方の機能を持っています。

 一方、第2次世界大戦後は軍用機が高性能になればなるほど開発費がかさみ、実戦配備後の改修費や運用コストも膨大になり続けています。しかも現代の兵器はコンピュータの塊といえるほど電子機器の重要性が増しています。新技術の投入は、実用化後に起こる不具合の解消が付きまとうのです。

 F-22はこうした問題が限界に達し、アメリカは軍事技術の秘匿性からF-22の輸出を禁止したため、生産はアメリカ空軍向けのみとなり、大量生産による取得単価の低減を図ることができず、コスト面から195機で生産を打ち切りました。

その代わりに同盟国の航空戦力を向上させる役割を担うことになったのがF-35です。

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