世界が賞賛する日本のモデルカーとは 弩級の高品質「メイクアップ」の驚愕クオリティ
世界的品質はいかにして実現するのか
現在、メイクアップは「アイドロン」「アイドロン・コレクション」「ヴィジョン」「イデア」「タイタン」といったブランドを作り、各種モデルカーをラインナップしています。これらについて共通して言えるのは、基本的に「コストダウン」を念頭において製品開発をすることがないということです。
モデル化の題材が決まったら、次はパーツ作りです。ただ、メイクアップの製品として世に送り出すために妥協はしません。たとえば43分の1スケールのポルシェ911のヘッドライトひとつとっても、ホワイトメタル製のベゼル(外枠部分)を手作業で研磨してメッキ加工し、内部には光源も表現して、極めて繊細なカットが施されたレンズをはめ込むといった具合です。
昨今、人気の18分の1スケールのモデルにおいても同様で、最新作のひとつである「ランボルギーニ・アヴェンタドール・ロードスター SVJ 2018」を例にとると、最初にランボルギーニ社から3Dデータ供給を受け、ボディから微細なディテールまで約3か月をかけて原型を作成するとのこと。なお、部品総数は実に354点に及び、1台の組み立てには45時間が費やされます。
ボディの塗装は5層にわたり、光沢ウレタンクリア塗装を施した後にカーボンデカール部分やピアノブラック部分がマスキングされ、ボディ全体がマットクリア塗装で仕上げられています。特にこの車種では60か所におよぶカーボンデカール処理も施され、最終的にペイントやアッセンブリーを含め約800か所のチェックを経てようやく完成するといいます。
比較的安価なミニカーであれば、プラスチックの成型部品ひとつで再現するようなディテールに、ハンドメイドのマルチ・マテリアル・パーツをいくつも使い、熟練工の手で組み立てるのがメイクアップのスタイルです。当然それはコストとして上乗せされ、商品の価格にも反映されますが、それでも愛好家を納得させるクオリティを優先することを信条に、メイクアップは製品作りを続けています。
かつてメイクアップの植本代表にお聞きして感銘を受けた言葉があります。「精密感という言葉がありますが、精密に作らなければ精密感は出せません。高品質も同様で、ひとつひとつ丹念な仕事をしなければ、品質の向上は望めません。“これだけはやらなければならない”と云う必然的要素と、実車のオーラを掴み取ることによって、結果的に高品質へと至るのだと思います」
まさに言いえて妙。世界を唸らせる日本のトップブランドの信条は、極めて簡潔で、愚直とも言えるものでした。
【了】
Writer: ヤマダマ(編集者)
雑誌やWEBの記事を書いたり編集したり。趣味はオープンカーで田舎道を走ること。モータースポーツの歴史や欧米のモーターカルチャーが好き。
コメント