しわ寄せは国民に?自賠責の運用益6013億円の未返済問題がヤマ場 岸田首相「両省で調整を」

1990年代に自賠責保険の運用益を一般財源に繰り入れた財務省と、その返済を求める国土交通省との交渉が大詰めを迎えています。交通事故被害者の救済などに使われるはずの、未返済分6013億円のしわ寄せは、自動車ユーザーが被ることになるのでしょうか。

大臣間合意に返済計画は盛り込まれるのか 結局しわ寄せは国民に?

 斉藤鉄夫国交相は例年の内容から一歩踏み込んで「返済計画ロードマップを明確にして、合意期間中の繰り戻しの継続、目安の提示ができるように財務省としっかり協議していきたい」と答弁。返済の見通しを求めましたが、同じく返済額については触れませんでした。

 これまで国交省は貸付額6013億円を翌年度にも返済してほしいという立場から、財務省に対して毎年度の返済額を具体的に示さず返済を求める「事項要求」という形で決着を図ってきました。しかし、結果的にこの姿勢が、財務省の「一般会計の財政事情を踏まえ」、先の見えない繰り延べにつながってきました。

 自動車ユーザーが保険料として負担し、交通事故被害者の救済に使われるべき事故対策事業は124億円(2021年度予算)でしたが、財務省の返済額は47億円。不足分の77億円は事業資金となる積立金を取り崩しています。

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浜口 誠参議(中島みなみ撮影)。

 前出の浜口参議は、被害者と家族の意見を代弁します。

「2018年から再開された返済だが、繰り戻しは少ない。平均40億円。だいたい積立金を取り崩している。それがない額まで増額してもらうのが来年度のひとつの基準だと思う」

 新たな大臣間合意までに残された時間はわずかです。タイムリミットまで1週間を切りました。被害者救済事業の財源に不安を覚えた国土交通省は、自動車ユーザーに新たな負担を求めることを画策しています。いつにも増して合意内容は注目されています。

【了】

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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