「名古屋の下のほう」には何があるのか?「ずらし旅」で実際に行ってみた

日間賀島のタコとフグとキツネ

 再び高速船に乗って、篠島から約10分の日間賀島へ移動します。こちらも愛知県にある3つの有人島のひとつです。

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タコのモニュメントが出迎える日間賀島(2021年12月、恵 知仁撮影)。

 この日間賀島はフグ、タコで知られる島。港でタコのモニュメントが出迎えるほか、駐在所もタコのデザインです。またかつて下関で不漁だったとき、日間賀島のフグを求める業者が殺到したといいます。

 日間賀島では宿(大海老)に泊まり、フグとタコを味覚で取材したのですが、噛むほどにうま味が広がった「茹でだこ」が特に絶品でした。付近が栄養豊富でエサに恵まれた海であるため、日間賀島のタコは美味しいそうです。また愛知県は、日本有数のトラフグ漁獲量を誇ります。

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日間賀島名物の「茹でだこ」(2021年12月、恵 知仁撮影)。

 さて、話を最初に戻して「名古屋の下のほう」の観光は、名鉄グループがさまざまな展開を行っていますが、2021年12月から3月まで、JR東海もこのエリアへ特に注目。「あいちフグタコ」キャンペーンを展開しています。

 コロナ禍を受けてJR東海が提案している、旅を定番からずらすことで、混雑を避けつつ、新しい発見などを楽しもうという「ずらし旅」のひとつです。

 愛知県でフグやタコを味わえる旅行商品の発売、「ずらし旅 選べる体験コンテンツ」へ「干しタコ体験」などが楽しめる「日間賀島満喫パス」の追加、「EX 旅のコンテンツポータル」でクーポンがついた観光プラン「愛知の離島めぐり」の販売、などを行っています。

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日間賀島の「干しタコ体験」(2021年12月、恵 知仁撮影)。

 地域では有名な観光地でも、全国的に有名とは言えないかもしれない「名古屋の下のほう」。実際に行って待っていたのは、全国的に有名な伊勢神宮と深い縁がある篠島、そして絶品のフグ、タコをはじめとする海産物などとの出会い。「ずらし旅」の楽しさがつまったエリアでした。

 ちなみに日間賀島は、橋でつながっていない離島では人口密度が日本一といい、クルマの通行が困難な路地が入り組んだ、絵に描いたような島の風景が待っていました。大都会の名古屋駅から1時間半程度で着く場所だと思うと、狐につままれたようでもありました。

【了】

【写真】生き物のような駐在所

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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