ウクライナ産の世界初「珍エンジン搭載の飛行機」どんなもの? 「ムリヤ」も開発のアントノフ社製

「An-70」が開発された経緯

 世界で初めて飛行したプロップ・ファン搭載の飛行機「An-70」は、1000機以上製造されたアントノフ社のベストセラー輸送機「An-12」の後継機として開発されました。

「An-70」は、An-8を始めとする歴代アントノフ社の輸送機では伝統的な、主翼を胴体の上部に配置する「高翼」のレイアウトや、ボディが低く短い脚などが特徴。これは乗客・貨物の積み下ろしを容易にする、不整地でも離着陸できるようにするなどの狙いでしょう。その一方、従来機で設置されていた、着陸する滑走路面を目視するための「観測窓」がありません。

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An-70(画像:アントノフ社)。

 なお、プロップ・ファンはスペック・アップのほか、短距離離着陸性能も狙ったものと記録されています。

「An-70」の設計が開始されたのは、ウクライナが旧ソ連だった1984年。開発途中で、ソ連は崩壊しますが、その後少なくとも初飛行までは、開発費をロシアとウクライナで負担しあいながら、進められました。ただ4度目の飛行試験時、初号機が人為的ミスのためにまさかの墜落。その後作られた2機目の試作機が、紆余曲折を経ながらも、現在、飛行可能な1機のみの機体です。

 一方で、An-70のデビュー後も、プロップ・ファン搭載の飛行機が一般化されることはありませんでした。というのも、この当時、航空機向けの燃料が世界的に広く産出されており、燃料より快適性が優先されたほか、長年使用され続けた安定性もあり、ターボ・ファン・エンジンの優勢はゆらぐことなく今日に至っています。実は、プロップ・ファン・エンジンの飛行機には、特有の空気を切り裂く音や振動などがあり、快適性はイマイチだったのです。

 ただ、完全にAn-70が“過去のもの”となっているかというと、そうとも言い切れません。

【写真】すごい形… An-70の「花びらみたいなプロペラ」ドアップで

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コメント

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1件のコメント

  1. この不思議な音、似たような音なら扇風機でも聞けます。
    あんまり見かけませんがファンが4枚や5枚じゃなく細いのが10枚以上の花のように見えるやつです。
    ただ動画のように騒がしいのでおすすめはしません