半世紀前から完璧? 超ご長寿な英国「ホーク」練習機の歩みから日本のT-4後継を考える
一方T-4は?「ホーク」にならうところも多いかも
さて、日本のT-4練習機は、どうでしょうか。同機の生産は「ホーク」よりはるかに少ない212機に留まりますが、これは開発当時に外国へ輸出できなかったことが響いています。ただT-4も、視界の良いキャノピーや高く機体を安定させる垂直尾翼は、訓練機として高い適性を持っています。
中身をアップデートしてきた「ホーク」のように、日本もT-4を母体として中身を刷新した新しい練習機を後継にすることはできるでしょうか。日本でこういったアップデートが図られた航空機はF-4EJ改、P-2J、SH-60K・Lなどが先にありますが、国産機で中身を一新するのは新たな挑戦になるでしょう。
次期戦闘機の開発も並行するなか、新規開発より予算を抑える、T-4の改良も良き選択肢のひとつともいえます。
筆者が20年以上も前、T-4の組み立て工場で見た光景があります。操縦室ブロック部分が、まるで曲芸で輪をくぐるドルフィンのように、前後を金属の輪に通して造られていたのです。
「組みあがった後に輪に沿って回して、中に工具などの忘れ物がないか確かめるのです」と社員が教えてくれました。ブロック部分ごと輪を回して逆さにすれば、忘れ物が落ちる仕組みです。シンプルですが、「現場の知恵」から生まれたのもしれません。感心したのを覚えています。
輪のついたあの作業台が保管され再利用できるなら、開発費も抑えることができるでしょう。
おりしも米国では、空軍に納入する次代の練習機、T-7A「レッドホーク」の初号機がロールアウト(完成披露)しました。日本のT-4後継問題もこれから、さらに熱くなってくるでしょう。「ホーク」を造り続けた英国に学ぶことは多いかもしれません。
【了】
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
取り敢えず20mmバルカンパック又はイコライザー機関砲パックと90式とサイドワインダー並びにロケット弾ポッドを運用可能に改良して欲しいですね。