井の頭線いつからアジサイ有名に? イメージアップだけじゃない「植えた目的」
京王井の頭線の線路沿いで、アジサイが見ごろを迎えています。実は同線がこうした“花の路線”になったのは近年のこと。アジサイはある意図をもって植えられたものでした。
いまこそぶらり途中下車したい井の頭線
2022年6月現在、京王井の頭線で線路端のアジサイが見ごろを迎えています。京王電鉄もアジサイをデザインしたヘッドマークを列車に掲出するなどPR。平坦な区間だけでなく、車窓から家々が見えづらくなる堀割の区間も、斜面にアジサイが大輪の花を咲かせています。
ただ、「昔は他の線区の斜面と同じく、草の生えた土構造物」でしたと京王電鉄は話します。いまの風景は、1990(平成2)年から線路端にアジサイやサザンカ、ツツジといった植物を植えてきた結果だそう。
その目的は、乗客の目を楽しませるだけでなく、雨による斜面の崩壊を防止するためだそう。これら植物は根を広く張るためです。
「環境対策と沿線のイメージアップを兼ねて植栽を行ってきました。おおよそ10年くらいで現在のように育ちましたが、その後もメンテナンスを行っています」(京王電鉄)。現在、沿線のアジサイはおおよそ2万4000株に上るそうです。
井の頭線は昭和初期の開業。東京の私鉄でも後のほうにできた路線で、主要道路と立体交差するため、築堤や掘割の区間が多いのが特徴です。その斜面を保護するアジサイで彩られた車窓は、ある意味、井の頭線ならではの特徴のひとつといえるかもしれません。
ちなみに、鎌倉などもアジサイで有名ですが、これも、斜面の崩壊を防止する目的で植えられたものといわれています。鉄道では、山岳区間をゆく箱根登山鉄道なども、アジサイが見事な路線として知られます。
【了】
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