新兵器の脅威に抗え! いまや幻の艦載火器「機砲」はなぜ急速に普及し消えたのか

現代的な艦艇の黎明期、いまではまったく見られなくなった「機砲」なる独特の機構を備えた火器がありました。現代の機関砲とも異なるこの火器が各国の艦艇に普及した背景には、とある「新兵器」の登場も関わっています。

機砲が必要に迫られたワケは「水雷艇」

 機砲が狙ったのは当時の新兵器「魚雷」で武装した「水雷艇」です。

Large 20220816 01
日露戦争当時、日本海軍の機砲を操作する様子(画像:『日露戦役海軍写真帖第一巻』市岡太次郎 等撮影/小川一真出版部/国立国会図書館 所蔵)。

 19世紀までの海戦といえば、木造帆船に大砲を積み、砲撃戦で敵艦を破壊し、そして艦首の尖った衝角(ラム)を敵艦にぶつける体当たり戦法が主流でした。やがて敵弾を防ぐために主要部分を装甲した艦が造られ、それを打ち破ろうと大砲も大口径化します。装甲艦が登場した頃は、大砲の威力不足で命中させても致命傷にはなりにくく、時代が逆戻りしたように衝角をぶつけ合う体当たり戦の方が有効だったという時期もあったようです。

 それでも当時の装甲艦は、重くなりすぎるという理由から、敵弾が当たりにくい水面下の船体に装甲は施されていませんでした。そこを狙ったのが魚雷です。

 1868(明治元)年にイギリス海軍が魚雷を実用化し、1879(明治12)年にはこれを主武装とする水雷艇が生まれます。当時の魚雷は直進性が悪く、命中させるにはなるべく目標に接近する必要があり、小型ですばしこい水雷艇で敵艦に肉薄したのです。なお、当時の「水雷艇」は蒸気機関を主機とする艦艇であり、後に登場する、内燃機関で水面滑走するいわゆるモーターボートの「魚雷艇」とは別物です。

Large 20220816 02
1906年7月に撮影された、アメリカ海軍の水雷艇、USS「モリス」(画像:アメリカ海軍)。

 日清戦争の黄海海戦で損傷を追いながら、辛くも沈没を免れた清国の戦艦「定遠」も、日本海軍水雷艇の夜襲で致命傷を受けて、後に自沈へ追い込まれています。戦艦、巡洋艦の大口径砲では水雷艇を追い切れず、連射できる火器のニーズが高まっており、そこに登場したのが機砲というわけです。

【画像】警戒感マックスで晴海に入港する英揚陸艦「アルビオン」とその機銃

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 登録していませんが、何時も楽しく拝見させていただいています。

    8/16のパンツァーの記事について疑問があります。

    最終ページのガトリング ファランクスの記述ですが、

    「前述の」以下の部分はバルカン砲ではなくガトリングガン

    ではないでしょうか?

    バルカンはGE製M-61の商標で運用はF-104搭載の1958年~

    だとおもいます。

    またパンツァーなら俗称のバルカン ファランクスではなく

    正式のファランクスとしたほうが専門誌っぽいと思いました。

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  4. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号