新兵器の脅威に抗え! いまや幻の艦載火器「機砲」はなぜ急速に普及し消えたのか

現代的な艦艇の黎明期、いまではまったく見られなくなった「機砲」なる独特の機構を備えた火器がありました。現代の機関砲とも異なるこの火器が各国の艦艇に普及した背景には、とある「新兵器」の登場も関わっています。

自動火器の登場とその発展

 連射火器といえば、1861(文久元)年に発明された「ガトリング砲」は有名です。多砲身で大きく重く扱いにくく、手動でクランクを回して再装填が必要でしたので、これも自動火器とはみなされません。軍艦に搭載されたこともあります。ただ構造上、口径を大きくできなかったのが難点でした。

 実用性が高い現代の自動火器の元祖とも言うべきマキシム機関銃が発明されるのは1884(明治17)年で、それ以降はノルデンフェルト式機砲もガトリング砲も姿を消します。

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進化したバルカン砲の子孫、近接防御火器システム「バルカン・ファランクス」(画像:アメリカ海軍)。

 20世紀に入ると、すばしこい水雷艇よりもっと厄介な航空機という敵が加わり、軍艦には対空用の自動火器搭載が必須になります。現代では20mm多銃身機銃と小型レーダーを組み合わせ、近距離で対艦ミサイルなどを全自動で迎撃できる「バルカン・ファランクス」のようなシステムが搭載されています。前述の1861年に発明されたバルカン砲をルーツとしますが、その子孫は20mm砲弾を毎分3000発から4500発(毎秒50発から75発)で撃ちだすバケモノになりました。

 そして21世紀に入ると、肉薄してくるゲリラの小型艇や無人艇を追い払うため、人力で扱う小口径の自動火器が再び搭載されるようになっています。

【了】

【画像】警戒感マックスで晴海に入港する英揚陸艦「アルビオン」とその機銃

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

1件のコメント

  1. 登録していませんが、何時も楽しく拝見させていただいています。

    8/16のパンツァーの記事について疑問があります。

    最終ページのガトリング ファランクスの記述ですが、

    「前述の」以下の部分はバルカン砲ではなくガトリングガン

    ではないでしょうか?

    バルカンはGE製M-61の商標で運用はF-104搭載の1958年~

    だとおもいます。

    またパンツァーなら俗称のバルカン ファランクスではなく

    正式のファランクスとしたほうが専門誌っぽいと思いました。