軍艦の砲や機銃はなぜ少なくなったの? 時代が下るほど甲板上がスッキリしてきたワケ

大戦中の軍艦といえば多連装砲やハリネズミのように空へ向けられた対空砲など、その喫水線上はなにかとゴテゴテした印象ですが、現在のものはこれらに比べずいぶんとスッキリした印象です。その変遷を見ていきます。

甲板上にところせましと配置された砲がなくなった理由

 2022年現在の軍艦と第2次世界大戦頃の軍艦を比べると、現在の方が甲板上はスッキリしている印象を受けます。飛行甲板を持つ空母も、舷側などを見るとそのように感じるでしょう。昔はついていた砲身が複数ある多連装砲や対空機銃座が少なくなっているからです。なぜ、現在は甲板に砲塔などが少ないのでしょうか。その答えは武器の発展にあります。

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1943年に就役したアメリカ海軍 戦艦「アイオワ」の主砲は16インチ3連装砲。1984年7月撮影(画像:アメリカ海軍)。

 19世紀後半、半後装式の砲が主流になっていくと、軍艦が搭載する火砲の威力も上がっていきます。これにともない、相手の火砲をしのぐため両舷に装甲を施した艦船が登場し、砲も木造船の時代のように両舷に搭載すると防御力に問題があるため、装甲で守られた回転砲塔を甲板に設置するようになっていきました。

 20世紀に入ると分厚い装甲や大きい砲を持つ戦艦を倒すために、さらに大きな砲と分厚い装甲を持った戦艦が登場するという大艦巨砲主義の時代が到来します。しかし当時の艦砲というものは、それまでの目測で撃っていた時代よりはマシになったものの、測距儀や方位盤などを駆使し射角などを計算して射撃しており、そこまで命中率が高いものではありませんでした。

 さらに、装填速度なども砲弾の大型化などで時間を要するようになったため、砲身を複数搭載する連装砲が考案され、3連装砲塔、さらには4連装砲塔も登場することになります。これをメインの攻撃手段の主砲として数基搭載し、その空きスペースにやや小さい副砲を配置するのが一般的となりました。

 その後、第1次世界大戦において戦場に航空機が投入されるようになると、対空防御に特化した対空砲や対空機銃も搭載されるようになります。第2次世界大戦型の軍艦、特に「大和」などの戦艦を見てみると、大きな主砲のほかに対空砲や対空機銃がハリネズミのように配置されており、主流のスタイルとなっていきました。

 これは戦艦、空母、重巡洋艦といった艦隊の中核を担う大型艦だけではなく、それを護衛する駆逐艦なども同じで、戦中には秋月型駆逐艦やアメリカ海軍のアトランタ級軽巡洋艦のように、対空機銃や対空砲を多く搭載した防空特化の艦船も登場します。この時代の艦船はどれも突起物が多く、無骨さを感じさせるデザインといえるでしょう。

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コメント

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5件のコメント

  1. 「補足」ではなく「捕捉」ですね。

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  2. 大艦巨砲主義はもはやロストテクノロジーになってしまったといえよう

  3. 中露そして日本の最新&開発中の対艦ミサイルは超音速または
    極超音速三\(^o^)/ですが米英のは亜音速でもステルス((((-.-)
    で探知を遅らせ命中数秒前まで敵艦に気付かれない方向に進んで
    います((((#`皿´)(ToT)
    将来の対艦ミサイルの多数派が米英方式になるならリアクションタイムが短く初速が速い機関砲CIWS多数装備のリバイバルもあり得ると思います(^∇^)

  4. レーザー砲やレールガンが実用化されたらまた艦砲の形も変わってくるかもしれませんね。