名古屋高速で乗合バス横転炎上 2人死亡 発足直後の営業所 監査では異常なし

名古屋高速で乗合高速バスが横転、炎上する事故が発生しました。所属するバスの営業所は、発足した直後で営業のスタートを切った矢先でした。

県営名古屋空港の高速乗合バスを運行

 2022年8月22日午前10時13分に発生した名古屋高速上での乗合バス事故は、横転炎上する車内から2人の死亡が確認されました。死亡したのは55歳の運転士と乗客でした。そのほかの乗員乗客についての被害詳細は確定していませんが、7人が軽傷と伝えられています。

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県営名古屋空港のあいち航空ミュージアム。あおい交通のバスが名古屋市街とを結んでいる(画像:PIXTA)。

 運行は愛知県小牧市に本社がある「あおい交通」の乗合バス。近隣の県営名古屋空港を中心に、名古屋市内各所や春日井市に向けて5路線の乗合バスを定期運行しています。

 炎上したバスは午前9時55分に名古屋市中区の「栄」を出発し、名古屋高速「豊山南IC」で一般道へ降りる分岐点(0.8kmポスト付近)で事故を起こしたと、乗合バスを保有する同社野口営業所は説明しています。

「単独事故と考えられるが、事故原因などは警察が捜査中で結果を待っている状態」

 バスは本体記録型のドライブレコーダーを搭載していました。警察は調べを進めています。

 あおい交通は周辺地域のコミュニティバスの運行を受託するほか、乗合・貸切バスで延べ131両を保有(乗合バスと貸切バスが重複して登録している場合もある)。事故車を保有する野口営業所は乗合バス専門で42両を保有していました。

 あおい交通は1957(昭和32)年に設立され、本社を含めて4つの営業所を持っています。野口営業所は2022年3月に営業を開始し、同7月25日に新設営業所としての国土交通省から初めての監査を受けたばかり。中部運輸局は「特に違反はなかった」としています。

 中部運輸局は事故を受けて、野口営業所に特別監査を実施しています。また、国土交通省は事業用自動車事故調査委員会に調査を要請しました。

 事業用バスの事故は貸切バスで目立っていて、定時に定期路線を走る乗合バスで、横転炎上する死亡事故はまれです。

 現場となった名古屋高速小牧線は事故発生直後から下り線(楠JCT~豊山北入口)で、19時現在も通行止めが続いています。上り線も10時22分から通行止めでしたが、15時に解除されました。

 また、県営名古屋空港を中心とするバスは、通行止めの影響で一部遅れはありますが、他の路線では平常通り運行しています。

【了】

【写真】激しく炎上するバス/事故現場の線形

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

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2件のコメント

  1. 誤・自家用自動車事故調査委員会

    正・事業用自動車事故調査委員会

  2. 自家用自動車事故調査委員会
    って初めて聞きました。そんな委員会あるんですかね。