名古屋で導入予定ナシの連節バスが走ったワケ もっとスゴイ車両を走らせる「SRT構想」とは?
名古屋のど真ん中で、全長約18mの連節バスが初めて走りました。これは名古屋市が導入を検討している新しいバスシステムの社会実験ですが、実はまったく違う新しい車両「SRT」が導入される予定です。
LRTのような連節バス? まったく新しい乗りもの「SRT」とは?
バスの車体が2台つながった、全長18mにも及ぶ連節バスが、2020年10月11日(日)に名古屋の市街地を初めて走りました。
この運行は、名古屋市が2027年に予定されているリニア中央新幹線(品川~名古屋)開業に合わせて運行を検討している交通機関の社会実験です。岐阜バスで運行されている「清流ライナー」のメルセデス・ベンツ製連節バス「シターロG」を借りて試験走行しました。車長が長いバスをメインストリートで走らせる際の問題点を抽出するのが狙いだったようです。
ただ名古屋市は、新しい交通機関として連節バスを走らせるつもりではありません。
名古屋市が2019年に発表した「新たな路面公共交通システムの実現をめざして」によると、「SRT」(スマート・ロードウェイ・トランジット)という交通機関の導入が検討されています。
このSRTは、連節車両などを用いて大量かつ安定したバス輸送を可能にする「BRT」(バス・ラピッド・トランジット)や、路面電車を近代化する「LRT」(ライト・レール・トランジット)とも一線を画した、新しい交通機関とされています。名古屋市の資料に描かれているのは「LRTのような仕様を持ち、タイヤで道路を走る連節バス」と言えるものです。
資料では、車内から街並みを見渡せる大きな窓を持ち、フランス・ストラスブール市を走るLRTのような車内がイメージされています。タイヤで走るバスの場合、どうしても大半のスペースを座席が占めがちですが、名古屋のSRTは一部座席を跳ね上げ可能にして、座席を車内中央に集中的に配置させるなど、ゆったりしたスペースが保たれるようです。
またタイヤの足回りに「加減速制御」を搭載することで、従来のバスにはない乗り心地を実現し、将来的には自動運転に対応できる、とのこと。まさに鉄道と連節バスの「いいとこどり」するような仕様とされています。
ただし2020年現在では「名古屋市と自動車メーカーが協議して開発」ということ以外、詳細は決まっていません。
そもそも市はなぜ、このような新しい乗りものを想定しているのでしょうか。秘密はそのルートに隠されています。
この際ですから中止含みで基幹バスの不効用も研究してみればよさげですが。