問われるJアラートと民間防衛 WW2期ロンドン市民の「ブリッツスピリット」に学べ

「国民保護」に関する情報、活動は、国際的には「民間防衛」に相当するものです。WW2期も日本のみならず、たとえばロンドンにおいてのその様子に関する資料が多く残されています。そこには、現代日本が学ぶべき多くのものが見られます。

「心理的兵器」と市民 有識者の予測と実際のところ

 第1次世界大戦後、イタリアの軍事学者ジュリオ・ドゥーエは爆撃機を重視し、敵国への無差別戦略爆撃は民衆にパニックを起こさせ、戦意を奪うことで戦争に早期の決着をつけ、流血も少なくなり人道的だ、と説きました。この考え方は空軍関係者から長く支持され、戦意喪失を狙うという考えは現代の戦略ミサイルに通じるものがあります。

 そして1938(昭和13)年、イギリスの精神科医の団体は、無差別戦略爆撃が実施されれば国民にパニックが起こり、第1次世界大戦時の前線兵士に見られた「戦闘ストレス反応」、いわゆる「シェルショック」のような精神疾患を発症する人が300万人から400万人になると予想しました。これは負傷者想定よりも多い数でした。

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1940年7月9日ロンドン上空を飛行するドイツ軍のHe111爆撃機(画像:German Air Force photographer、Public domain、via Wikimedia Commons)。

 果たして1939(昭和14)年9月3日、イギリスがドイツに宣戦を布告して22分後には、ロンドンに空襲警報が鳴り響きました。パニックは起こったのでしょうか。

 精神科医たちの心配は杞憂でした。1940(昭和15)年9月7日からドイツ空軍によるロンドン空襲が始まりましたが、神経症と診断されたのは3か月間で約30人に留まったのです。イギリス国民の戦意を喪失させるどころか、かえって復讐心さえ煽り、ドイツ語の「ブリッツ(稲妻の意)」にちなんだ「ブリッツスピリット」という言葉も生まれました。

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ロンドンで上空警戒する空軍補助員。多くが民間人だった(画像:National Archives at College Park、Public domain、via Wikimedia Commons)。

 開戦当初、ヒトラーはロンドン市街地の爆撃を厳禁していました。ジュリオ・ドゥーエの理論とは反対に、都市を無差別爆撃すれば敵愾心を煽り戦争が泥沼化すると恐れていたためで、その見方は正しかったのです。

【画像】きっと1度は目を通したほうがよい国民保護ポータルサイト「弾道ミサイル落下時の行動」

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