ウクライナと戦う気ゼロ? ロシア軍なぜ最新戦車もそのまま放棄・逃亡しちゃうのか

ロシアによる侵攻に対し、ウクライナには欧米各国から様々な武器が供与されていますが、実は最大の供与先は“ロシア”だとか。ロシアの遺棄兵器が膨大なのはなぜなのか推察したら、意外な点も判明しました。

最新戦車T-90Mすら遺棄して逃げるロシア軍将兵

 2022年2月のロシア軍による侵攻以降、果敢に戦うウクライナ軍は、これまでの戦闘でT-72やT-80といった戦車をはじめとして、様々なロシア軍戦闘車両(AFV)多数を鹵獲(ろかく)しています。なかでも話題になったのは、ウクライナ軍参謀本部が2022年9月19日に公式ツイッターなどで発表した、T-90M「プラルィヴ」の完全な状態での鹵獲報告です。同車は、東部ハルキウ州で発見されたと伝えられています。

 T-90Mは、ロシアが誇る最新戦車T-14の配備の遅れを埋め合わせるために開発された、T-90戦車シリーズの新モデルで、事実上、ロシア最新鋭といえる戦車です。ロシア軍にとっては切り札だったはずの最新戦車が、なぜやすやすとウクライナ軍の手に渡ってしまったのか。この出来事も含めて、現在のロシア軍の状況を読み解いてみましょう。

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ロシア軍が遺棄したT-62戦車の前でポーズをとるウクライナ軍兵士(画像:ウクライナ軍参謀本部)。

 世界中どこの国の軍隊でも、戦車などの戦闘車両を運用する部隊では、敵に撃破されたものはやむを得ないにしても、燃料切れや故障で車両を放棄しなければならなくなった場合は、まず軍事機密など敵にこちらの技術力を知られてしまうような装備については、該当部品の持ち去りや破壊をしたり、もしくは当該車両を再生不能状態まで破壊したりするのが鉄則とされており、訓練などではそのように教育を受けます。

 特に最新、あるいは機密性の高い装備を多数保有するエリート部隊ほど、このような基本原則を順守するように訓練されるのが常です。第2次世界大戦中のドイツを例に挙げると、最新鋭の重戦車を運用するエリート部隊だった独立重戦車大隊では、ティーガーIやケーニクスティーガー(ティーガーII)といった戦車を前線で放棄しなければならなくなった場合、可能な限り爆破処分するように命じられていました。

 現実には、戦況のひっ迫や爆破用資材の不足などで必ずしも破壊措置を全うできるわけではなく、比較的健常な状態で鹵獲される車体もあったものの、それは燃料切れや弾薬切れといった、車両自体の運用が不可能になる状況下でのことが多かったようです。

【写真】ロシアが遺棄した最新戦車T-80BVやT-90Mなど

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コメント

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4件のコメント

  1. ケーニクスってなんでしょうか?
    いろんなサイトで調べたのですが、
    『ケーニヒス』の間違いでは無いでしょうか。

    乗り物ニュースは他のサイトと違って記事の間違いや名詞の間違いが少ないサイトなのに、こんなのは珍しいですね。

    なんどか『ケーニクス』と書かれているので、誤字では無いですよね。

    • サンデーアート社からケーニクスティガーという本が出版されていますのでそういう言い方もあるのだと思います。
      パトリオット、ペトリオットみたいな感じじゃないのかな。

    • ドイツ語読みではケーニッヒスティーゲルKoenichsTigel(oeとあるのはウムラウト記号の代わりです。)が正しいです。 筆者はドイツ語の読み方に無知で英語の様な読み方をしたのでしょう。

  2. 厭戦や練度不足で説明がつくのか疑問。
    ウクライナ側ではロシアからの支援だとの皮肉な揶揄があるが、本当にそうなのではないかと思う。
    部隊長が破壊を命じない、隊員の誰も破壊しない、通りかかった友軍の誰ひとりとして破壊しない。それが連続して初めて一台の鹵獲が発生する。
    それが千件にもなればそれは事故ではなく故意ではないか。
    ロシア軍が、集団の総意として深くウクライナに同情し、かつ自軍の指導者を憎んでいると想定して、初めて理解できる行動だ。