7年ぶり開催! 海上自衛隊「観艦式」出席のカナダ艦2隻とそれだけじゃない来日目的
なぜカナダ海軍はインド太平洋地域で活動する?
ところで、なぜカナダ海軍はインド太平洋地域でこのような活動を実施しているのでしょうか。
まず、カナダは日本と同じく「太平洋国家」です。つまり、自国の領土が太平洋に面しており、さらに太平洋を利用した海上輸送による輸出入が自国の経済を下支えしています。従って、カナダにとって太平洋を含む地域の安全は自国の利益に直結するわけです。
実際に、今回のカナダ海軍艦艇派遣にあわせて、カナダのアニータ・アナンド国防大臣は「カナダは太平洋国家であり、世界の安定と繁栄にとってインド太平洋地域が重要であることを強く信じています」と述べています。
さらに、カナダは国防に関する基本方針として、自国を防衛する「Strong」、アメリカと共に北米地域を防衛する「Secure」、そして世界の安全に貢献する「Engaged」を掲げており、今回のインド太平洋地域派遣を含め、カナダ軍のグローバルな展開はこれに沿ったものです。2023年にも、新たな艦艇を再びインド太平洋地域に展開させることがすでに予定されています。
両艦は呉寄港ののち横須賀へ寄港し、国際観艦式や日米共同演習「キーンソード」に参加する予定で、こうした機会を通じてさらに日本との連携が強化されることになるでしょう。
こうした日加関係の深化について、イアン・G・マッケイ駐日カナダ大使は、「カナダは、強固で拡大を続ける日本との防衛関係を非常に重視しています。日本はインド太平洋地域の重要なパートナーであり、私たちは日本がこの地域全体の平和、安定、繁栄に重要な役割を果たしていることを十分理解しています」と述べており、今後の日加間の防衛協力の行方が注目されます。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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