ソ連の傑作輸送機「An-12」、わずか9分の初飛行からどう大成? 姉妹機は×だったのに

旧ソ連のアントノフ設計局が手掛けた輸送機のなかで、傑作機となったもののひとつとなったのが、An-12です。この機の初飛行はわずか9分。そこからどうヒット機になったのでしょうか。

An-12、An-10とどこが変わったの?

 実はAn-12、先述の初飛行は、機体のトラブルが生じたと判断され、わずか9 分間で打ち切られました。スタートは順調ではなかったのです。たとえば、プロペラが左回転であったため、そのトルクで右に曲がる傾向があったり、着陸操作のクセが強く難しかったりするほか、An-10とともに横方向の安定性が低いという特性もありました。

 こうしたことから、An-12では、尾翼の設計に改修を加えることになります。もっとも大きく変わった点は機体尾部で、An-12の垂直尾翼はAn-10のものより大型化。胴体後部も輸送機むけに改修されました。

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アントノフAn-12(画像:Antonov Company)。

 こうしてデビューにむけ準備を進めたAn-12は結果的として、C-130にこそ及ばないものの、様々なヴァリエーションも含め1972年までが製造されました。信頼性の高さや困難な気候条件でも運用できること、整備性の高さなどがヒットの要因とされています。

1979年から始まったアフガニスタン戦争でも投入され、そのなかでソ連側の戦死者を祖国へ返したことから、「ブラック・チューリップ」という愛称も与えられたほか、爆撃機としても使用されました。また、ウクライナが分離独立してからも運用が継続され、またウクライナの輸送機として使用されています。

 また中国軍でも、An-12の性能が着目され、使用されることとなりましたが、やがて、自国で「Y-8」としてライセンス生産しています。またその後、Y-8をベースに、胴体の延長やシステムの更新を施したY-9という機体も開発されました。

【了】

※一部修正しました(12月17日13時30分)

【微妙に違う?】客室クラシカル! ソックリすぎる「An-12&An-10」の全貌を比較

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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