東京の「環状4号線」って? ブツ切り環状道路 全通へ事業進行中 どこまで進んでいるのか

東京都の主要な都市計画道路「環状第4号線」。大部分で開通済みですが、未開通区間が複数あり、ぐるっと回るルートには至っていません。どこまで計画は進んでいるのでしょうか。

都内をぐるっと回る環状道路、どこまでつながった?

 戦後すぐに生まれた東京都心の都市計画道路のひとつ「環状第4号線」。

「環七」「環八」はもちろん、2022年12月に全線開通した環状第2号線や、新宿のトンネルが開通した第5号線とくらべても知名度には欠けますが、全通をめざして各地で事業が進められています。この「環4」はどこを通り、どこが開通済みで、どこが工事中なのでしょうか。

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広尾地区を抜けていく環状第4号線(画像:写真AC)。

 環状4号線は、品川駅の東側にあたる港区港南三丁目から、白金台、国立競技場、西早稲田、西日暮里を都内をぐるりと周って、江東区新砂三丁目へ至る計画です。

 現在の環状4号線の開通状況をざっくりまとめると、「外苑西通り」などとされる西半分と、「不忍通り」「丸八通り」で構成される東半分が開通済み。起点側や新宿区~豊島区~文京区などで未開通・未拡幅となっている状況です。以下、未開通区間を中心に詳しく見ていきます。

●【事業中】港南三丁目~第一京浜(品川駅)~高輪台
 2019年に事業認可を受け、用地取得に向けた測量設計等が進められています。基本的に高架で、品川駅の北側でJRや京急、第一京浜を越え、西側の丘陵上へ着地する構造です。

●【事業中】高輪台~白金台
 2020年に事業認可を受け、用地取得に向けた測量設計等が進められています。全区間地上道路で、目黒通りに直交します。なお、品川駅~白金台では、東京メトロ南北線の品川延伸の事業が始まっており、地上道路と地下鉄はおおむね一体的に計画・施工されることになっています。

●【開通済み】白金台~富久町
 白金台からは「プラチナ通り」として並木道を抜けていきます。首都高目黒線に到達すると、右折して首都高の下道に合流。そこからは「外苑西通り」として、環状第3号線「外苑東通り」とつかず離れずの位置関係で北上します。甲州街道をすぎ、靖国通りと接続しわずかに進んだところで、開通区間は終わります。

●【事業中】富久町~余丁町
 新宿区富久町のなだらかな丘陵を超える部分が未開通です。用地取得は2022年4月現在で約88%で、更地化した予定地内には狭く密集した路地沿いにフェンスがひしめいています。南側で排水工事が進められています。

●【開通済み】余丁町~河田町
 余丁町通りと職安通りをつなぐ330mが先行開通しています。若松河田駅付近で職安通りにひとまず直交していますが、将来的には環状第4号線のほうが本線となるような線形で用地が確保されています。

●【開通済み】河田町~若松町~夏目坂~西早稲田
 地図を見ると河田町からそのまま北へ北へ進めばいいと感じられますが、環状第4号線はこのエリアでかぎ状に折れ曲がり、東へ迂回していきます。まずは若松町まで行き、そこから夏目坂を北上、早稲田大学南門で早稲田通りと重複し、進路を西へ変えて西早稲田まで向かいます。この区間は昔ながらの狭い通りですが、拡幅事業が進められています。夏目坂拡幅の事業期間は2026年度までとされています。用地取得率は2022年4月現在で、若松町区間が約80%、夏目坂が約11%となっています。ちなみにこのようなかぎ状の路線計画になったのは1964(昭和39)年の都市計画変更によるものです。

●【開通済み】早稲田通り~新目白通り
 都電荒川線が走る新目白通りへ、一気に坂を下っていく部分が、開通済みとなっています。都バスの「飯64系統」など複数の路線がこの坂を上り下りしています。

●【事業中】新目白通り~目白通り(目白台)
 都電荒川線を越えて北側へ、目白通りまで到達する区間が未開通です。ここは武蔵野台地の目白崖線が立ちはだかり、すぐ東側では勾配23%の猛烈な急坂「のぞき坂」が有名なほど。環状第4号線はその崖をトンネルでぶち抜き、開通済みの目白台北側へ顔を出す計画になっています。2021年4月時点で用地取得率は98%。現在は、都電から北側へ伸びる平地の部分の側溝工事などが始まったところです。

●【開通済み】不忍通り~道灌山通り~明治通り~丸八通り
 目白台からは道路はひととおりつながっていて、護国寺以東で順次都市計画道路の幅への拡幅が計画されているところです。本駒込付近の拡幅事業は、2021年4月現在で用地取得率42%となっています。

 進路を南へ変えようとするあたりで東へ曲がり、JR西日暮里駅を経由して道灌山通りを東進。宮地交差点で南東へ曲がり、西から来た環状5の2号線を引き継ぐ形で、明治通りとして墨田区へ向かいます。小村井交差点で明治通りとしては南へ分岐していきますが、環状4号線は道なりに進み、丸八通りとして南砂町駅へ到達し、永代通りに接続して終点となります。

【了】

【「環状4号線」ルートと整備状況】

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