JR津軽線 廃止も視野か 赤字66線区の「交通再編」先陣に? “縦割り”で分断されるバス&鉄道

乗合タクシーで浮き彫りになった? 「交通の“行政縦割り”問題」

 運休が続く区間の移動手段は鉄道以外に、2町の町営バス(外ヶ浜町営バス、今別町巡回バス)があります。しかしこのバスが町単位で分断され、「新幹線」「在来線(津軽線)」「外ヶ浜のバス」「今別のバス」それぞれの連携が薄いという課題を抱えています。

 半島の観光スポットである「竜飛岬」「青函トンネル記念館」などは、三厩駅の14kmほど北にあります。これまで観光列車「リゾートあすなろ」の乗り入れやキャンペーンに合わせたシャトルバスの運行などが、JR東日本・沿線自治体の協力のもとに行われてきました。

 しかし沿線2町は、蟹田駅が外ヶ浜町(旧・蟹田町)、新幹線駅は今別町、終点・三厩駅や竜飛岬は外ヶ浜町(旧・三厩村)という“飛び地合併”で成立しています。このため2016(平成28)年に新幹線が開業するも、併設されている津軽二股駅とは接続がほぼ図られず、新幹線駅から竜飛岬への移動は2町の町営バスを三厩駅で乗り継ぐ必要がありました。

 また2町のバスは隣町へ乗り入れると停留所をほとんど通過(新幹線駅に寄らない場合も)したり、中にはたった4分差を待たずにバスが発車してしまったりすることも。津軽線から外れた旧・平舘村エリアのように2町のバスが仲良く接続する場所もあるのですが、鉄道沿線では、ただでさえ少ない路線バスの効率が輪をかけて良くありません。

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龍飛漁港を出発する外ヶ浜町営バス。合併前は三厩村が運営、その前は青森市営バスが乗り入れていた(宮武和多哉撮影)。

 当初の大きな目的は「観光地・新幹線駅への移動」だった「わんタク」ですが、2町の主要スポットをほぼカバーしているとあって、蟹田駅から離れた外ヶ浜中央病院・マエダストア(スーパー)などへ向かう地元の方の利用もあるとのこと。また目的地にほぼ直接向かえる「わんタク」を利用することで、既存の鉄道・バスが分断されて使いづらい状況に改めて気づく人もいるのだとか。

 蟹田~三厩間はかねてからの利用の低迷に加えて、「鉄道の機能低下」「地域一帯の交通も問題を抱えている」という状態で、JRにとってはある意味、提案を行いやすい環境とも言えるでしょう。

【むしろ便利?】津軽線の蟹田~三厩間と「わんタク」運行エリア(地図)

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