自賠責の賦課金額「安易にリークするな」 報道されても審議会で説明なし 縦割りで見えない値上げ議論
制度の理解より金融庁と国交省の縦割りが優先される?
保険料率と賦課金は、行政にとっては別モノかもしれませんが、保険金の一部として自動車ユーザーが負担します。賦課金を含めた総額が保険料で、法律がある限り払い続けなければなりません。保障制度参事官室の説明では少なくとも2040年頃までは続く負担です。賦課金額を明示した上で審議会を開催すべきではなかったのでしょうか。
審議会の事務局は金融庁保険課が務めます。「審議会の目的は保険数理に基づき、保険料率が適正かどうかを審議するもので、賦課金制度は金融庁の担当外である」と説明します。
しかし、保険料率の適正性は、専門機関である損害保険料率算出機構が算定するので、審議会で異論はほとんどでません。委員の発言は、自賠責保険で実施する交通事故防止関連の活動の是非など、支出の無駄を省くことが中心です。財務省一般会計への貸付金の返済が滞っていることについても、賦課金の議論が始まる前から委員は問題にしてきました。財務省の担当者を招き、説明を求めるべき、という非公式の意見もあったほどです。
それでも保険料率以外の意見ついて審議会が動くことは、ほとんどありませんでした。審議会の形骸化が懸念されます。保険課は言います。
「金融庁の所管外の議題を議論しないというふうにはなっていない。国交省も保険業界も同席するので、必要な対応を検討して、やってもらうのだと思う。オープンな場で議論するのは意味がある」
斉藤鉄夫国交相は13日午前の会見で、次のように話しました。
「13日の審議会で来年度の自賠責保険料率が決定されるわけではないと聞いている。国交省はオブザーバーとして参加し、賦課金の検討状況について報告する予定。賦課金の金額を明示して、それを受けて検討いただき、最終的に決まる手順である」
国交省は審議会の2回目の開催について言及しましたが、審議会で2回目の開催(1月20日)が決定したのは、審議会が終了する間際の同日夕方でした。
そんな中で金融庁は、来年からの審議会の開催を原則1回とすることを決めました。行政の縦割りと建前に阻まれ、自動車ユーザーから自賠責保険の全体像は極めて見えにくくなっています。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
自賠責保険は仮払い制度だと報道しないのは何故でしょうか
自賠責保険から出たお金は最終的に加入任意保険会社に請求が行く仕組み
加入任意保険が支払い拒否すれば、もちろん自賠責保険から治療費は出ない
(そのせいで20年間交通事故の治療が受けられない 実話)
更にT社とSJ社の示談書偽造(有印私文書偽造)問題も報道しないのは何故だろう