アメリカ陸軍「やっぱりいらない」に海兵隊反発 共同開発した「新・軍用車」突然の調達停止なぜ?

アメリカ陸軍が、ハンヴィーの後継として導入していたJLTV(統合軽戦術車両)の調達を停止すると発表しました。共同運用していた海兵隊には事前説明がなく、軍内部で摩擦も生じています。

陸軍の突然の決定に海兵隊困惑

「落胆した」――アメリカの国防予算に関与する下院歳出小委員会の筆頭理事であるベティ・マカラム下院議員(民主党、ミネソタ州選出)が漏らしました。アメリカ陸軍が「M10ブッカー」戦闘車の調達計画を事実上キャンセルし、関係者に衝撃を与えるなか、もう一つ波紋を広げているのが、ハンヴィー(HMMWV)の後継として導入が始まっていたJLTV(統合軽戦術車両)の調達停止です。

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M153 CROWS IIリモートウェポンステーションを装備したJLTV(画像:https://oshkoshdefense.com/photo-gallery/?category=Vehicles, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 マカラム下院議員は「非常に残念です。JLTVのJはジョイント(Joint)の頭文字で『統合』『連携』を意味します。変更が必要な場合、関係者には情報を共有して行われるべきです」と声明しています。

 JLTVの調達停止は2025年5月1日、ダン・ドリスコル陸軍長官とランディ・A・ジョージ陸軍参謀総長が発表した「部隊への書簡:陸軍改革イニシアチブ」で明らかになりました。この決定はJLTVを陸軍と共同で運用してきた海兵隊に何の事前説明もなく伝えられたため、軍内部での摩擦も引き起こしています。

 JLTVはもともと、陸軍と海兵隊が共同で進めてきた装備開発でした。

 2015年8月、陸軍はオシュコシュ・ディフェンス社と、陸軍と海兵隊向けに1万6901台を調達する67億ドルの低率初期生産(LRIP)契約を締結しました。2022会計年度第4四半期に、AMゼネラル社とフルレート生産(FRP)契約を締結する予定で、報道によれば最大2万682台のJLTVと、最大9883台のトレーラーを生産する約80億ドル相当の契約になるはずでした。

 陸軍による突然の決定は、「統合」の理念に水を差すものであり、海兵隊にとっては文字通り寝耳に水の事態でした。海兵隊側はこの決定に強い不満を表明しており、今後の運用や調達体制に不安が広がっています。

【比較】ハンヴィーより少しゴツいJLTVを見る(写真)

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